11/12 - 船客に対する賠償責任に関するEC規則(PLR)の発効について

アウトライン

  • 船客に対する賠償責任に関するEC規則(PLR)は2012年12月31日に発効します。
  • PLRは、EUあるいはEEA加盟国に登録あるいは寄港する船舶で船客定員が12名を超える全ての船舶に適用されます。
  • アテネ条約で規定する船客1名あたりの責任限度額25万SDRの付保証明がPLR施行により必要となります。
  • クラブは2012年12月31日までに、船主が旗国証明書を申請するために必要な、戦争危険を除く付保証明(non-war Blue Card)を発行いたします。
  • 国際グループ加盟のP&Iクラブでは、基本的に戦争危険の担保を提供していません。戦争危険の付保証明(war risks Blue Card - 戦争危険ブルーカード)に関わるPLRの要件を満たすための代替手段については、現在国際グループ内で検討しています。進展があり次第お知らせいたします。

組合員各位

船客に対する運送人の賠償責任に関する2009年4月23日付欧州議会及び

理事会規則(EC)No392/2009の発効について

(PLR:The Passenger Liability Regulation)

PLRは、欧州連合(EU)及び欧州経済領域(EEA)各加盟国註1において2012年12月31日より適用されることとなりました。この規則は、1974年の船客及びその手荷物の運送責任に関するアテネ条約の2002年改定議定書(以下「条約」)ならびに条約発効のための戦争危険に関する2006年IMO留保およびガイドライン(以下ガイドライン)の主要規定を施行するものです。PLRの重要な特徴は、EUあるいはEEA加盟国が当該海上輸送に対する規定の適用を延期しない限り、国内輸送に従事する特定の客船にも条約の規定が拡大適用されることです。註2  また、PLRは、身体障害者用移動器具の損害に対する賠償責任を課すとともに、条約で定めた船舶事故註3により船客が死傷した場合には、運送人に当座必要な金銭の前払いを義務付けています。

2012年8月28日時点で8カ国が条約を批准しています。条約の発効は10カ国目が批准してから12カ月後となっており、PLR発効後の2013/14保険年度中となる見込みです。その場合、2つの別個の体制(PLR及び条約)が有効となり適用されます。EEA協定に基づき、EEA加盟国は2012年12月31日までにPLRを国内法化して施行しなければなりません。

メンバーの皆様へは、条約の発効が近づいた時点で、状況をご報告いたします。

運送人の責任
PLRは船客の死傷、手荷物及び車両の損害や損失に関する責任と補償ならびに強制保険について規定しており、具体的には、運送人について以下のように定めています。

  1. 船舶事故による船客の死傷に起因する補償の支払について、船客1名当りSDR250,000註4(約US$387,500)を限度として運送人は厳格責任を負う。損害あるいは損失がSDR250,000を超えた場合は、無過失の証明が無い限り、船客1名当りSDR400,000(約US$620,000)を限度として責任を負う。
  2. 船舶事故によらない場合で、相手方が運送人の過失を立証した場合は、SDR400,000(約US$620,000)を限度とする。

保険及び証書
船客定員が12名を超える船舶で、EU/EEA加盟国を船籍とする、あるいは、加盟国に入出港するものは、PLRの要件を満たす保険を付保し続け、保険の有効性を証明する証書の発行を加盟国から受ける必要があります。また加盟国発行の証書は当該船舶上に常時備え置かなければなりません。

条約の規定により、運送人は、船客1名当りSDR250,000を限度とする責任を担保する保険あるいはその他の財政補償を備えていることが必要となります。

証書と証書上の責任の共同管理(プール)
国際グループ加盟全クラブの理事会で検討した結果、国際グループ・クラブは、戦争危険を除く付保証明(non war risk PLR“Blue Card”-「非」戦争危険ブルーカード)を発行し、2012年12月31日までに船主がEU/EEA加盟国に対してPLR証書の発行申請を行うことができるようにすることと致しました。また、「非」戦争危険ブルーカードの下で発生したクレームについては、国際グループの客船クレームの上限である20億USドルを限度として国際グループ・プール協定及び再保険プログラムの対象とすることとしました。

非」戦争危険ブルーカードをもとにEU/EEA加盟国が発行する証書はPLRに規定された書式となっており、この書式は条約に関する記載のみがあり、PLRに関する記載はありません。そのため、「非」戦争危険ブルーカードにはPLRに関する記載はなく、条約に関するもののみとなっています。PLR自体には、PLRのための別個の付保証明や加盟国発行の証書についての規定はありません。

また、船主には、戦争やテロ行為に起因する船客の死傷に対する責任を有効に補償する保険者あるいは財政補償の提供者が発行する戦争危険ブルーカードの取得が義務付けられています。戦争保険ブルーカードと発行手続は2006年IMOガイドラインに規定があります。過去数ヶ月に渡り、国際グループ加盟13クラブの全ての理事会において、戦争及びテロ危険に関する担保を国際グループ・プール協定及び再保険プログラムの対象とするべきか、時間をかけて詳細な検討がなされました。現行では、戦争及びテロ危険は一般除外規定の対象であり、変更には4分の3の多数の賛成が必要です。国際グループが主たる戦争責任保険者となることに賛成したクラブはそれに達しませんでしたが、メンバーがPLRの規定を遵守することができるよう、国際グループは代替手段を模索しています。

PLRのブルーカードは、(i)EU/EEA加盟国に船籍を置かない、あるいは、加盟国に入出港しない船舶、(ii)船客定員が12名以下の船舶、(iii)EU内陸水路のみを航行する船舶には必要ありません。

EU/EEA加盟国は、戦争危険ブルーカードと、「非」戦争危険ブルーカードの提出を受けて、1通の証書を発行します。2009年5月の採択以来、PLRの円滑な施行のために、国際グループはEU/EEA加盟国と連絡を密にしており、2012年12月31日の施行に向けて引き続きそれを維持していきたいと考えています。

ブルーカードの発行
PLRの要件を満たすには、ブルーカードに、船名、船籍港、IMO番号、運送人名と主たる事業所の住所が記載されていなければなりません。2001年バンカー条約のブルーカードと同様、メンバーから住所について特段ご連絡頂かない限りは、登録上の住所を付保証明に記載します。

PLRは2013/14保険年度開始の約7週間前に施行される見込みです。メンバーにおかれては、2012年12月31日から2013年2月20日正午(グリニッジ標準時)までの期間についての「非」戦争危険ブルーカードがまず発行され、2013年2月20日正午から2014年2月20日正午(いずれもグリニッジ標準時)までの新保険年度については新規に「非」戦争危険ブルーカードが必要である点にご留意下さい。

証書の発行
EU/EEA加盟国に船籍を置く船舶の運航者は、加盟国から証書の発行を受ければ足ります。この証書は、EU/EEA加盟国に入港あるいは着岸する時点で付保があることの証拠とみなされます。EU/EEA加盟国に船籍を置く船舶を保有するメンバーにおかれては、加盟国当局に照会し、PLR証書の申請手続きを確認されますようお願い致します。

EU/EEAの非加盟国に船籍を置く船舶については、2012年12月31日のPLR適用開始後、最初に寄港したEU/EEA加盟国が証書を発行するという同意をし、この証書がEU/EEA各加盟国に入港・着桟の時点で付保があることの証拠とみなされることが望まれています。国際グループはこれについて加盟国の同意が得られるよう協議を続けております。

国際グループ加入クラブが電子書式(pdf)証明で「非」戦争危険ブルーカードを発行し、メンバーがその書式のまま加盟国の関係当局へ転送し、証書発行申請を行えるようにしたい意向であることを加盟国はすでに認識しています。バンカー条約と1992年CLC条約関連ではこのような手続が広く行われています。

国内運送への適用
2012年12月31日以降、EU/EEA加盟国において国内海上運送に従事する船舶で、EU指令98/18/EC第4条に定めるクラスA及びクラスBの船舶にもPLRが適用されます。

クラスAの船舶についてはPLR施行から4年後の2016年12月31日まで。

クラスBの船舶についてはPLR施行から6年後の2018年12月31日まで。

加えて、EU/EEA加盟国は、国内海上運送に従事する全ての船舶までPLRの対象を任意で拡大することができます。その場合には、EU指令98/18/ECに定める第4条に定めるクラスCやクラスDに該当する船舶も含まれることになります。

EU指令98/18/EC第4条に定めるクラスAからクラスDまで船舶の定義については別紙1をご参照下さい。

国内運送に従事するこれらのクラスの船舶に対するPLRの適用について、全てのEU/EEA加盟国が方針決定したわけではありません。すでに方針決定済みの加盟国の現況は以下の通りです。

2012年12月31日から国内運送にPLRを適用し、クラス A, B, C, D 全てを対象とする国

  • オランダ
  • フィンランド
  • デンマーク

2012年12月31日からクラスAとクラスBの国内運送にPLRを適用する国

  • クロアチア(2013年7月1日の正式加盟に先立ち、EU法の総体系の一部として2012年12月31日からPLRを適用する旨の通知あり)
  • ポーランド
  • フランス

クラスAについて2016年12月31日まで、クラスBについて2018年12月31日までPLRの適用を見送る国

  • イギリス
  • イタリア
  • ベルギー
  • ラトビア

EU/EEA国内の運送に従事するメンバーにおかれては、同国当局に照会し、国内運送についてのPLRの適用について確認されますようお願い致します。

船客への情報提供に関するPLRの要件

PLR第7条は、PLR上の権利について船客に情報提供を行うことを運送人に義務付けています。情報提供推進のため、欧州委員会はPLRの概要を取りまとめて公表することになっています。これには、運送人が公表すべき情報の概要が盛り込まれる予定です。国際グループとしては、欧州委員会と連絡を取りながら、進捗状況を随時お知らせいたします。

国際グループのすべてのクラブより同様の回覧が発行されています。

脚註:

註1) EU加盟27か国:オーストリア、ベルギー、ブルガリア、キプロス、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、オランダ、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロバキア、スロベニア、スペイン、スェーデン、イギリス。EEA加盟国:アイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタイン。クロアチアは2013年7月1日にEUに加盟するが、2012年12月31日からPLRを適用。

註2) 2002年アテネ条約は「国際運送」にのみ適用。

その1.9条に、国際運送とは「運送契約上の航地と到着地の国が同一でない、あるいは、運送契約又は旅程上の発航地と到着地は同一国であるが、途中国外に寄港する運送」と定義されている。

註3) 「船舶事故」とは、船舶の難破、転覆、衝突又は座礁、あるいは、船舶上の爆発又は火災、あるいは、船舶の故障をいう。

註4) 特別引出権(SDR - Special Drawing Right)は、主要4カ国の国際通貨バスケットに基づいて決められ、国際通貨基金のウェブサイト(www.imf.org)によると、現在の換算レートで約US$1.54又はEUR1.20相当。

別紙1

客船の安全規則と基準に関する1998年3月17日付EU指令98/18/EC

第4条 客船の分類

客船は運航海域によって以下のとおり分類される。

「クラスA」とは、国内航海に従事する客船で、以下の「クラス B」、「クラス C」及び「クラス D」のいずれにも該当しないものをいう。

「クラスB」とは、国内航海に従事する客船で、海上遭難者が上陸可能な海岸線(中間潮位時)から20 マイル以上離れて航行しないものをいう。

「クラスC」とは、国内航海に従事する客船で、通年運航の場合は年間を通じて、期間限定運航(例:夏季限定)の場合は休航期間を除いて、有義波高が2.5m を超える確率が10%未満の海域を航行し、避難場所から15マイル以上はなれて航行することがなく、海上遭難者が上陸可能な海岸線(中間潮位時)から5 マイル以上離れて航行しないものをいう。

「クラスD」とは、国内航海に従事する客船で、通年運航の場合は年間を通じて、期間限定運航(例:夏季限定)の場合は休航期間を除いて、有義波高が1.5m を超える確率が10%未満の海域を航行し、避難場所から6マイル以上はなれて航行することがなく、海上遭難者が上陸可能な海岸線(中間潮位時)から3 マイル以上離れて航行しないものをいう。

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