回覧15/15 - 2015年英国保険法

アウトライン

  • 2015年英国保険法が2016年8月12日より施行されます。
  • UKクラブは国際グループのうち、新法に影響をうけるクラブと共に、この新法の任意規定の一部適用を選択します。
  • クラブ・ルールの一部変更が必要となりますが、メンバーの皆様へは通常の方法で通知いたします。

組合員各位

2015年英国保険法

2015年英国保険法(新法)が2016年8月12日(2016保険年度中)に発効します。

新法は、保険契約者である消費者及び非消費者共に更なる保護を与えようとしており、1906年海上保険法(MIA1906)として現在成文化されている英国の保険契約に関する法規を改訂することとなります。新法立案に際し、海上保険マーケットのような洗練された市場では必要ないのではないかという認識がありました。むしろ、一部の保険者が新法の多くの任意規定を適用しない契約を結ぶのではないかと予想されています。

P&I保険はメンバー(被保険者)及びP&Iクラブ(保険者)の利益のために確立した方法で営まれている洗練された保険マーケットです。国際グループ(IG)における8つのクラブは、そのルールがMIA1906を含む英国法を準拠法としているため、新法の影響を受けます。したがってIG全体の継続的利益のため、IGの8クラブのコンセンサスは、新法の任意規定の一部条項を適用しない契約の締結です。それでも、これら8クラブは現行不明瞭であった法規を明確化したため新法の一部規定を採用すべきと認識しています。 

施行日

新法は2016年8月12日(2016保険年度中)以降に締結される保険契約に適用されます。新法により影響を受ける8クラブは、これを見据え2016年2月20日に発効するルールを変更します。ルール変更については、通常通りの方法でメンバーに通知します。各クラブは下記(a) 2016年8月12日以降にクラブに加入するメンバーあるいは船舶について、及び(b)同日以降に保険更改するすべてのメンバーについて、保険引受の内部手続きを変更します。ルール改訂および内部手続きの変更は下記の法律上・契約上の権利義務の変更を反映したものです。

公正な情報提供義務

MIA1906で規定されている告知義務(Obligation of disclosure)はリスクの「公正な情報提供義務」(duty to make a fair presentation)に代わります。新たな義務は、その多くが現行の告知義務にあるものです。しかし、クラブが更なる質問が必要であると認識するに十分な情報を開示するという、メンバーが今後果たすべき「公正な情報提供義務」に伴い、保険者の情報開示手続きの充実という役割が、より強化されました。各クラブは、公正な情報提供及びリスクの専門的査定はメンバー及びクラブの相互利益であり、結果として新たな「公正な情報提供義務」については、新法に影響を受ける各クラブがこれを適用すべきであるという見解です。

公正な情報提供義務違反があった場合の保険者のための救済策

新法の下では、被保険者が故意または無謀により公正な情報提供をしなかった場合に、保険者は保険契約を無効とする権利を有しています。また被保険者が知らずにあるいは怠慢のために公正な情報提供をしなかった場合でも、保険者はもし公正な情報提供があれば当該保険契約を締結していなかっただろうと思われる場合には、当該保険者はその保険契約を破棄する権利も与えられています。保険契約が継続し、救済策が付保するリスクやそのリスクに対する保険料等の条件によることとなるのは、保険者がこれら情報にも関わらず保険契約を締結したであろうという状況に限られます。そのため保険契約を無効とする救済策は、被保険者が公正な情報提供をしなかった場合、新法の下でも従来通り通常の救済策となります。

しかし、新法の影響を受ける8つのIGクラブは、P&I保険を取巻く状況に照らし、相互クラブにおいて適切な情報開示が重要であることを認識しつつ、公正な情報提供義務違反についての救済策に係る新法の条項を適用しない契約を結ぶ意向です。これら8クラブは、リスクに関する公正な情報提供義務違反についてMIA1906における保険者の救済策を維持します。

ワランティ及びその他条件

特定のワランティ(被保険者による契約上の約束)の遵守、例えば船舶の船級維持は、損害の種類に関わらずクラブの保険カバーの前提条件となっています。現在の実務及び現行法は、新法のワランティ違反に対する救済策より、クレームの拒否についてクラブに広範な権利を付与しています。現在、メンバーのワランティ義務違反については、クラブ理事が別の判断を下さない限り、クラブはその保険契約上の責任を免れることになっています。

新法について検討するにあたり、リスクの相互負担という特徴や、クレームを取扱う際にクラブ理事会あるいは管理者の裁量による判断が可能であること、またワランティその他条件が新法の条項でどのように適用されるかが不明瞭であることが重要であると考えられました。従って、現行の立場を維持することが最良であるとされました。そのため影響を受けるIGクラブは、許される限りワランティに関する新法条項を適用しない現行の契約締結方式を継続することとします。

契約の基礎条項

新法は、契約前に提供された情報の真実性を被保険者が保証することを盛り込んだ保険契約の基礎条項を禁止しています。この禁止事項は、保険契約の「基礎」となるべき情報を申告する現行クラブ・ルールの効果を否定するものです。これは強行規定であるため、契約のいかなる基礎条項の文言も、新法に影響を受ける8つのIGクラブのルールから削除することとなります。その代わり重要情報の開示が不正確であった場合には、リスクの公正な情報提供であったかどうかという疑義として扱われることになります。

保険金不正請求

新法の保険金不正請求に関する規則は明確化されました。そのため、新法の影響を受けるIGクラブは不正請求の取扱いに関する新規定を採用いたします。

しかし、これらIGクラブは保険金支払い先となるメンバー提携企業など加入証書にその名が記載されていない保険金受取人による不正請求後の保険契約の有効性の継続について、新法規定の運用に関しては適用を除外します。このように保険金不正請求がなされた場合に、IGとしては一貫して、メンバーがあたかも不正請求をしたのと同様のインパクトを受けてしまうという見解を持っています。そのため影響を受けるIGクラブは、新法規定のこの部分に関しては適用外で契約をいたします。

保険金の支払い

Enterprise Bill 2015(現在英国議会において審議中の法案)では保険金の支払いを合理的期間内に支払うことを、全ての保険契約に導入する新法改定を提案しています。同法案はこの規定の違反の救済策を提案しており、それには被保険者による利息請求の可能性を含んでいます。付保するリスクの相互保険という特徴やIGやプール協定の下でクレームが処理される方式を鑑みるに、これら規定はIGクラブには適当とは思われません。そのため新法の影響を受けるIGの8クラブはこの規定の適用外で契約をする意向であり、メンバー・クレームについて長年行ってきたとおり利息の支払いは除外することを継続します。しかし、新法は保険者が故意あるいは無謀に合理的期間内に保険金支払いを行わないような場合には、この条項の適用外で契約することを許可していません。

P&Iクラブの国際グループのうち、そのルールが英国法を準拠法としているため、新法の影響を受けるIGクラブは同様のクラブ回覧を発行しています。

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