回覧03/16 - イラン航海とP&Iカバーについて

アウトライン

  • 本回覧は包括的共同作業計画(JCPOA)の履行に基づくイラン制裁の一部解除を受け、それに伴う保険てん補に関するメンバー向けのご案内です。
  • JCPOAに基づき、特定の取引や行為について多くの制裁措置が解除されましたが、特定企業や個人との取引の禁止の制裁措置は継続されており、米国民がイラン関連の事業に係ることは引続き禁止されています。
  • 8000万ドルを超えるクレームについてのIG再保険部分は、継続されている制裁措置による潜在的な影響を受けることとなります。再保険回収に不足が生じれば、メンバーがクラブから回収できる部分に影響することが考えられます。
  • 国際グループ(IG)は、米国当局との交渉を通し今後の解決を図ろうとしており、暫定措置として代替保険の可能性も模索しています。
  • 国際グループの全てのクラブが同様の内容のクラブ回覧を発行しています。

組合員各位

イラン航海とP&Iカバーについて 

  1. イラン制裁の進展に関するクラブ回覧18/15をご参照ください。本回覧は、P&I保険のてん補の可否や回収に支障が生じ得る部分についてご説明することで、メンバーがイランへ航海するかどうかの判断をされる場合に役立てていただくものです。
  2. 下記の事柄のいくつかは、メンバーの船舶がイランのみならず米国による他の制裁国への航海にも適用されることもあります。ここ数年、主に国連、米国およびEUによりイランに対し、下記のような広範囲な禁止事項を含む経済制裁が発動されました。
     (a)米国の金融機関を含む米国民がイランで、あるいはイラン関連の事業に係ること
     (b)特定企業および個人との取引をすること
     (c)イラン関連の取引、イラン産貨物(主に原油、石油あるいは石油化学製品あるいはガス)の売買及び/又は輸送、あるいはこれら貨物運送に関する保険(P&I保険を含む)を提供すること
  3. 2015年7月に包括的共同作業計画(Joint Comprehensive Plan of Action, JCPOA)が英米独仏中露(P5+1)とイランの間で合意されました。2016年1月16日の「履行の日」(Implementation Day)に、上記(c)に記載した米国およびEUの主な経済制裁は解除されました。しかし上記(a)及び(b)に記載の制裁は継続されています。またその他多くの国々(例えばキューバ、ロシア/クリミア、北朝鮮、スーダン及びシリア)に対する制裁は継続されていることに注目していただく必要があります。
    経済制裁と国際グループ(IG)クラブのP&Iカバー
  4. すべてのIGクラブのルールは
     (a) 制裁措置への違反行為またはその責任に関してメンバーへのP&Iカバーは行わないという、停止規定あるいは無保険を規定しています。
     (b)制裁措置の適用によってクラブの再保険回収(これにはIGのプール協定や超過再保険やその他再保険契約からの回収を含む)に不足が生じた場合には、その不足分についてメンバーがクラブから回収する権利を禁止あるいは制限(減額)するとしています。
    プール及び国際グループの超過再保険(GXLプログラム)に対する制裁の影響
  5. 2016/17保険年度は国際グループ(IG)の各クラブは一事故から生じる責任について1,000万米ドルを保有することとなりました。1,000万ドルから8,000万ドルまでの責任については13の全IGクラブ間でシェア(プール)しています。もし13のIGクラブのうちいずれかのクラブが(そのクラブに制裁措置が適用されることにより)プール・クレームのシェア負担を禁止された場合には、個々のメンバーは夫々のクラブ・ルールに従い、その不足部分を負担することとなります。クラブ管理者が理解するところでは、米国に存在しているためにイランに対する米国一次的制裁措置の対象のままとなっている唯一のIGクラブ(つまりアメリカン・クラブ)が、イラン企業又は(イランSDN以外の)個人が関連する案件であったとしても、ほとんどの場合プール・クレームのシェア負担に応じることのできる特例が認められました。
  6. 8,000万ドルを超える責任は超過再保険の対象となり、これがもし制裁措置が適用された場合には、プール・クレームと同様の措置が取られます。(上記4)しかし、万一クラブが発行した証書や保障状、例えばCLC条約、バンカー条約、船骸撤去条約のためのブルーカード、STOPIA/TOPIA協定に基づいた責任(いわゆる「認定責任」)が生じた場合に、超過再保険プログラムの再保険回収に不足が生じれば、適用される制裁措置で各クラブの負担が応じられる限り13のIGクラブは当該不足部分を再プールすることに合意しています。もし、あるクラブが分担できない場合には、そのクラブの不足分はメンバーが負担することとなります。
  7. 万一、クラブが発行した証書や保障状の下で直接の対象とならない責任、例えば衝突やFFO(固定・浮遊物損傷)に関する責任(いわゆる非認定責任)が生じた場合に、超過再保険プログラムの再保険回収での不足分は13のIGクラブで再プールされることはなく、当該クラブのルールに従いそのメンバーが負担することとなります。
  8. 超過再保険プログラムに参加する米国の再保険者は、米国一次的制裁措置に依然、直接的な影響を受けることになります。本プログラムのかなりの割合が米国に何らかの繋がりを持つ再保険会社であり、米国の親会社や関連企業が米国一次的制裁の対象であるがために、米国企業ではなくともこれら米国関連企業や子会社による再保険金の支払いに支障が生じる可能性があります。その結果、超過再保険プログラムの下での再保険回収や5-7項目に記載したエクスポージャーにおいて、かなりの不足が生じることが考えられます。これはイランへの航海やイラン所有の船舶だけでなく、世界中のどの水域を航行する船舶から生じた責任についても(例えば、ある船舶がイラン所有の船舶と衝突事故を起こした場合など)このようなてん補不足が生じる可能性があります。
    米国財務省外国資産管理室(OFAC)との解決策の模索
  9. 再保険回収でその範囲や金額に不足が生じる潜在的可能性を考慮し、国際グループは米国当局(米国国務省及びOFAC)と直接協議してまいりました。その目的は超過再保険プログラムの参加者すべてがその責任を果たせるようにするという長期的解決策を達成することです。
  10. OFACとは全面的あるいは特例の認可に関して現在交渉する一方で、国際グループはイランに関する暫定的措置として、代替保険(fall-back insurance)(つまり超過再保険の不足の全部あるいは一部に充てる保険)であれば異議はないという確認をOFACに求めています。 もしOFACがこの保険について異議がなければ、これは短期的な解決策となるでしょう。しかしこのような保険の手配は簡単なことではありませんし、市場能力に伴う困難さやてん補範囲に制限がありうることから、現時点では「認定責任」だけに限定されるかもしれません。暫定的解決策であれ長期的解決策であれ、いずれにしても、契約完了までには一定の時間がかかります。国際グループは、暫定的、長期的解決策を達成するために、米国国務省及びOFACと積極的に交渉を続けてまいります。メンバーの皆様には進捗状況をお知らせいたします。
    国際グループの全てのクラブが同様の内容のクラブ回覧を発行しています。 

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