QCR Autumn 2018- 12: 不可抗力 - 不可抗力たる事由と契約解除との因果関係を示す必要性 - 合理的な努力義務

QCR Autumn 2018- 12: 不可抗力 - 不可抗力たる事由と契約解除との因果関係を示す必要性 - 合理的な努力義務

Seadrill Ghana Operations Ltd v Tullow Ghana Ltd [2018] EWHC 1640 (Comm)

事実

Tullow Ghana Limited(以下「Tullow社」)は、ガーナ政府の認可を得てジョイントベンチャー・パートナーを代理してWest Cape Three PointsのTEN油田(「TEN」)とJubilee油田(「Jubilee Field」)の両方を運営していました。 2011年、Tullow社はSeadrill社から日額60万ドルで、West Leoという、第6世代の超深海半潜水式海洋掘削装置(ultra deepwater semi-submersible rig)を賃借しました。2013年5月、ガーナ政府はTENの開発計画(「TEN POD」)を承認しました。 Tullow社は当初TENでWest Leoを使用し、その後はGreater Jubilee Fieldで使用することにしました。

2014年9月、ガーナとコートジボワールは、両国の海上の境界線が正確にはどこであるかという紛争を解決するため、国連海洋法条約(「UNCLOS」)に基づく仲裁を提起しました。 2015年4月、コートジボワールは、暫定措置令(「PMO」: Provisional Measures Order)を得、それは、「ガーナは、ガーナにより、またはその管理の下で、紛争地域において新たな掘削が行われないことを確実にするために、必要な措置をとること」という命令が含まれていました。この紛争地域にはTENが含まれていました。 上記PMOは、TENで掘削している油田については継続できる一方、新たな油田開発はできないことを意味しました。 Tullow社には掘削する予定の油田がいくつかあり、最後の油田は2016年9月に完成する予定でした。Tullow社はこれらの完成後には、Jubilee Fieldでリグを使用するはずでした。しかし、Tullow社によると、ガーナ政府は、Jubilee Fieldで使用されているFPSOユニットの技術的問題のため、Greater Jubileeの計画を承認することを拒否していました。

契約には不可抗力条項が含まれており、そこに記載されている事由には「政府による掘削停止命令(drilling moratorium)」が含まれていました。 2016年3月、Tullow社は、PMOが発せられたことは、契約に基づくその義務である、Seadrill社への掘削指示を妨げ、最終的には、契約を解除することを許す不可抗力である、と主張しました。 Seadrill社は、Tullow社の賃借料の支払いの拒否は2014年の原油価格の崩壊に関連しており、West Leoなどの設備の需要が減少し、結果としてこれらリグのマーケット・レートが1日約60万ドルから、2016年末には1日15万ドルから20万ドルとなるなど大幅な低下につながったからである、と主張しました。

判 決

商事裁判所は下記の2つの争点について考察しました:

  1. Tullow社が2016年10月の契約に基づく義務を履行しなかった原因は、不可抗力、すなわちガーナ政府による掘削停止命令であったかどうか、また
  2. 上記の回答が肯定的である場合、Tullow社が不可抗力を解決または回避するための合理的な努力を行ったかどうか。

最初の争点に関しては、Teare 判事は、暫定措置令は「政府による掘削停止命令」であるとし、本契約の不可抗力条項に記載されている事柄であるとしました。しかしながら、同判事は、掘削停止命令が被告の契約条項の履行を妨げたと仮定しても、それはTullow社が契約を履行しなかった原因ではない。 Tullow社の契約不履行の効果的な原因は、ガーナ政府がGreater Jubilee油田での掘削計画を承認しなかったことであり、したがって、裁判所は、Intertradex v Lesieur-Tourteaux事件判決([1978] 2 Lloyd's Rep 509)を参照し、Tullow社は不可抗力による契約解除の権限はないとしました。その理由は、上記の解除をするためには、不可抗力事由が善意の当事者に義務を果たせなくする唯一の原因でなければならないからです。

Teare 判事は、第2の争点について、不可抗力事由が発生した場合、当事者は、その影響を低減するために合理的な努力を行うべきであるという、付随的な義務を負っている、と結論付けました。同判事は、掘削停止命令の対象ではない他の油田の利用可能性に注目しました。法的な救済方法は存在していたが、技術的に簡単ではなく、商業的に魅力的ではなかったという理由だけで、その措置が取られなかったと判断しました。 Teare判事は 合理的な努力義務というのは、仕事をするかどうかを決断する際に、Tullow社が、自社の利益だけでなくSeadrill社の利益をも考慮しなければならないことを意味する、と指摘しました。裁判所は、Tullow社が合理的な努力義務を履行しなかったことが、Tullow社の「利便性のために」契約を解除できないさらなる理由である、としました。

コメント

この判断は、不可抗力条項を用いる際に注意を払う必要があることを強調しています。不可抗力事由が発生したことを示すだけでは十分ではありません。この条項に依拠する当事者は、その事由が契約上の義務を履行しなかった唯一の原因であることも示さなければなりません。この判断は、不可抗力事由が発生した場合の意思決定プロセスにおいて考慮されなければならない、追加的な考慮事項を示唆しています。これには、その事由を回避または軽減する合理的な努力義務が含まれます。しかし、この判示内容からは、合理的な努力と見なされるものと、不可抗力事由に関連しないものとの境目は明らかではありません。

契約のドラフト段階では、当事者が合理的な努力義務として捉えられるものを定義し、他方当事者の商業的利益を考慮する必要性を含めることを試みる価値があることが示唆されています。不可抗力条項の解釈の助けとなる判例は存在しますが、実際には、英国法における不可抗力は、純粋に契約上の概念であり、詳細に草稿する際に、すべての潜在的リスクを考慮し、またリスクをどのように配分するかを検討することで訴訟の回避に役立つことができるでしょう。

Tullow社は、判決に対する控訴の許可を申し立てることを含め、今後の対応を検討していると公表しています。今後も本件判決の成り行きを注視し、お伝えします。

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