QCR Autumn 2018-8: ヘーグ・ルール第3条第6項に基づく出訴制限(time bar)は、違法な引渡し(wrongful delivery)にも適用される‐外国での差押えは時間の進行を止めない。

QCR Autumn 2018-8: ヘーグ・ルール第3条第6項に基づく出訴制限(time bar)は、違法な引渡し(wrongful delivery)にも適用される‐外国での差押えは時間の進行を止めない。

DEEP SEA MARITIME LTD V MONJASA A/S (THE “ALHANI”) [2018] EWHC 1495 (Comm)

事実

被告、Monjasa社は、原告の船、Alhani号により運送された燃料油の荷送人でした。船荷証券には、トーゴ共和国のLomeからベナン共和国のCotonouまで運送することが規定されていました。船荷証券は、1924年ヘーグ・ルールを契約の一部として、明示的に摂取し、また、船主とMonjasa社の買主との間の傭船契約における英国専属的管轄条項も、摂取していました。Monjasa社は、Unitaes社に対して、所有権留保条項を含む売買契約に基づき、貨物を売却していました。Monjasa社のために、信用状が発行されましたが、書類上の不備があったとの理由で、それに基づく支払は拒否されました。2011年11月18日、船主は、船荷証券の呈示を受けずに、船舶間の移転として、他の船に貨物を荷揚しました。荷揚と引渡は同時に発生しました。

Monjasa社は、貨物の引渡がなかったとして、4つの訴訟手続を開始しました。2012年4月、Monjasa社は、チュニジアにおいて、本船を差押え、実体的な請求を提示しました。これらの手続は、2015年7月、管轄がないことを根拠に却下されましたが、上訴の対象として、依然、係属していました。Monjasa社は、また、船主に対して、中国の武漢海事裁判所において、訴訟手続を開始しました。証拠によれば、Monjasa社は、2012年10月18日、これらの訴訟を取り下げたものと認められます。Monjasa社は、2017年1月、フランスのル・アーヴルにて、本船を差押え、3つ目の訴訟手続を開始しました。フランスの裁判所は、Monjasa社に対して、実質的な救済を得るため、適切な裁判所において手続を開始することを命じました。Monjasa社は、2017年2月17日、船主に対して、仲裁を開始しようとしましたが、しぶしぶながら、船荷証券には仲裁約款がないことを認めました。

原告たる船主は、問題とされた貨物の運送に係る船荷証券に基づくMonjasa社の請求に関しては、自己は責任のないことを確認する宣言を求めました。船主は、Monjasa社の請求権は、下記ヘーグ・ルール第3条第6項に基づき消滅していることを根拠として、その不存在を確認する請求について、中間判決を求めました。

「訴訟が、貨物の引渡時、又は、引渡されるべき時から1年以内に提起されない場合、運送人、及び、船舶は、損害に関するいかなる責任から免責される。」

本件は、海上貨物運送法に関し、次の2つの重要な問題点を生じさせました。

  1. ヘーグ・ルール第3条第6項が創設した出訴制限は、船主が船荷証券の呈示を受けずに貨物を第三者に引渡したという、違法な引渡があった場合にも適用されるか否か。
  2. 第3条第6項に規定する「訴訟が、貨物の引渡時、又は、引渡されるべき時から1年以内に提起された」という要件は、船荷証券が傭船契約中の条項を摂取して、ある国に専属的管轄権を付与している場合に、その他の国の裁判所に対して訴訟が提起された場合にも、充足されるか否か。

判決

裁判所は、以下のとおり、結論づけました。

  1. 通常、英国裁判所は、専属的裁判管轄条項、又は、仲裁約款に違反して、外国において開始された手続を、英国裁判所における手続が出訴制限違反により否定されるか否かに関する争点に関し、第3条第6項にいう「訴訟」とは認めない。
  2. 上記の点は、手続が専属的裁判管轄条項、又は、仲裁約款に違反して手続が開始されたとしても、当該外国の裁判所が実体的な面において手続を継続することを許す場合であっても、同様である。
  3. しかしながら、だからといって、英国裁判所が、専属的裁判管轄条項、又は、仲裁約款に違反して外国の裁判所に提起された請求が、外国の手続において、出訴制限により否定されることを、常に、確認するべきであるとはいえない。
  4. 特に、ある国において「訴訟」を提起することとなるか否かの争点は、船荷証券の準拠法が英国法であるか否かという単純な問題よりも、当該国特有の問題を包含するものである、といえるであろう。
  5. さらに注意すべき点は、専属的裁判管轄条項に違反して英国において提起された手続を、英国裁判所がその継続を許す場合を想起することも可能であり、そのような場合には、そのような手続は、当該訴訟における、第3条第6項に基づく抗弁に対する答えとして、依拠することが可能であることを、大いに主張しうるという点である。

コメント

本判決は、結論として、ヘーグ・ルールに準拠し、英国裁判所の専属的管轄条項を規定する船荷証券に関し、違反的引渡(mis-delivery)、又は、引渡の不存在(non-delivery)に基づく請求が、1年の出訴制限に服すること、及び、外国において本船を差押えることも、荷主が専属的裁判管轄条項に気づいていなかったなどの特別の事情がない限り、時間の進行を止めないこと、を各々明確にしたという点において、船主により、歓迎されるべきものといえるでしょう。英国において、請求が出訴制限により否定されたとしても、荷主は、本船が差押えられた国において、実体的請求を追及することは可能です。弊クラブといたしましては、ヘーグ・ヴィスビー・ルールに準拠するカーゴ・クレームについても、同様の原則が適用されるものと考えます。

メンバーにおかれましては、船荷証券の呈示なしに貨物を引渡ことについては、PIカバーが否定されることについて、ご留意下さい。また、違反的引渡が契約上の責任期間外で行われた場合、ヘーグ・ルール、又は、ヘーグ・ヴィスビー・ルールがメンバーを保護しない、という点にも、ご注意が必要でしょう。「MSC Amsterdam」号事件([2007] EWCA Civ 794))においては、船荷証券中の条項により、MSCの責任を船積から荷揚までに制限しようとされ、また、第1審では、それは、「ヘーグ・ルールが規定する期間の終了後」である、と引用されました。貨物がコンテナ・ターミナルから違反的に引渡され、荷揚された後も依然、MSCの管理下にあったという時点について、ヘーグ・ルールは適用されない、と判示されました。

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