QCR Spring 2019-10: 国際私法(法の衝突)―不適切な法廷地(forum non conveniens)―原告は上海海事裁判所と香港において、被告に対する訴訟を提起した―香港での手続は上海海事裁判所のために停止されるべきか

QCR Spring 2019-10: 国際私法(法の衝突)―不適切な法廷地(forum non conveniens)―原告は上海海事裁判所と香港において、被告に対する訴訟を提起した―香港での手続は上海海事裁判所のために停止されるべきか

Bright Shipping Ltd v The Changhong Group (HK) Ltd (The “CF Crystal” and The “Sanchi”) – High Ct of Hong Kong SAR (CFI) (Anthony Chan J) [2018] HKCFI 2474 – 15 November 2018

事実

2018年1月6日、中国の東の海域において、原告のタンカー、Sanchi号と、被告のタンカー、CF Crystal号との間で、衝突が発生しました。これは、公海上で発生しましたが、中国の排他的経済水域内でのことでした。

Sanchi号は、衝突後すぐに炎上し、その後、沈没しました。船員は一人も助かりませんでした。衝突により油濁損害が発生し、それは、中国と日本の沿岸に到達しました。

Crystal号は、香港フラッグを有し、登録港は香港でした。その船員は全て、中国人で、その船は、香港で設立されたChangfeng Shipping Holding社により管理されていました。

Sanchi号は、パナマ・フラッグを有し、その船員は、イラン人、及び、バングラデッシュ人でした。その船は、イランの会社、National Iranian Tanker Co (NITC)社により管理され、左の会社は、上海に代表事務所を有していました。

衝突の後、多くの法的手続が開始されました。

2018年1月9日、被告であるChanghong社は、ベリーズで設立された、Sanchi号の船主であるBright Shipping社(原告)を含む、本件船舶に関連する複数当事者を相手取り、上海海事裁判所において、訴訟を提起しました。同日、原告は、被告を相手取り、衝突の責任とその責任額について、香港高等法院において、対人訴訟を提起しました。被告は、不適切な法廷地であることを根拠に、香港での手続の停止を申立てました。

判決

香港高等法院は、本裁判所の管轄は、被告の香港での登記された住所地に対する訴状の送達により、原告によって、その権利として、求められたことを指摘しました。

衝突が公海で発生したことからすると、その請求のための自然な法廷地は認められない、とされました。上海海事裁判所が香港の裁判所よりも、「明確、かつ、確実に」、訴訟の審理に適切なものであることを証明する責任は、被告にある(Spiliada号事件判決([1987] 1 Lloyd’s Rep 1)におけるテストによる。)、と判示されました。

上海が、船舶関係者による訴訟(inter-ship proxeedings)に対し、最も現実の、実体的な関連性を有するかどうか、を評価することが重要です。この点、裁判所は、以下の点に着目しました。

a) 衝突に係る責任の船舶関係者間での配分

b) 当事者各々の損害の額の算定

責任の問題については、航海データ・レコーダーがSanchi号から入手できたので、さほど重要に、疑念は持たれませんでした。

損害額の算定については、裁判官は、訴訟が中国本土で行われた方が、被告にとって有利ではあるものの、そのことにより、香港よりも上海が、「明確、かつ、確実に」より適切な地であるとはいえない、と考えました。香港の裁判所は、適切な場所にあり、また、中国本土の者の証人や、中国語の書面、さらには、中国本土の法律が関係する事件の経験が豊富です。今日、証言はビデオ・リンクを通じて得られるので、証人の所在地は、あまり問題とはなりません。

さらに、裁判官は、複数の手続が存在することは、それ自身、不適切な法廷地の法理を検討するための重要な要素ではなく、また、衝突の事案では、並行して複数の手続が存在することは、珍しいことではない、と述べました。矛盾する認定がなされる可能性があるとしても、それは、上海を適切な法廷地とするものではなく、また、公海での衝突という点からすれば、そのことが、被告にとっての異常な困難とはならない、とされました。

さらに、上海海事裁判所における船舶関係者の訴訟手続については、原告には手続の開始は送達されませんでした。また、被告はその設立地で訴訟を提起されており、従って、被告にとっての異常な困難さという主張は、否認されました。

結論として、香港の裁判所は、被告は、Spiliada号事件判決による第1段階の分析に関する立証責任を尽くさなかったから、不適切な法廷地であることを根拠とした、香港の手続の停止の申立は、却下されました。

コメント

本件において、管轄が争われた根拠は、中国本土と香港との間で、トン数に基づく責任制限額が極めて異なることでした。本件において、香港で適用されうる制限額は、中国本土でのそれの約3.6倍でした。

本判決は、Spiliada号事件判決による2段階のテスト、すなわち、第1に、他の法廷地が明確に、より適切なものであることを、被告が立証しなければならないこと、第2に、公正さが確保されること、を再確認しました。裁判官は、Bright Spring社は、上海海事裁判所では公正さを得られない、と理由づけました。

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