QCR Summer 2019-1: 保険約款の解釈における原則

QCR Summer 2019-1: 保険約款の解釈における原則

Zagora Management Ltd and Others v Zurich Insurance Plc, Zurich Building Control Services Ltd, and East West Insurance Co Ltd - [2019] EWHC 140 (TCC)

事実

本件は、海事事件ではありませんが、建物の構造欠陥に関する保険約款の条項の解釈に関して、いくつかの重要な見解が示されました。新築マンションを賃貸するために購入した投資家により、本件の申立がなされました。建築が完全には完了していない時点で、建築規則上の完了証明書が発行され、まだ建築されていないマンションもそれには含まれていました。原告は、「標準10年間保証新築物件欠陥保険約款(Standard 10 Year New Home Structural Defects Insurance Policies)」という名称の建物保険を発行した保険会社に対して、本件の欠陥を修理するための費用の支払いを求めました。本約款は、建築における構造上その他主たる欠陥をカバーするべく取得されたものでした。

第1被告たるチューリッヒ保険、及び、第3被告たるEast West Insurance Co Ltdに対する請求は、契約に基づく、保険約款に基づくものでした。第2被告たる、建物規則上承認された調査員としてのZurich Building Control Services Ltdに対する請求は、詐欺に基づくものでした。

判決

自由保有権保持者(freeholder)(訳者注:日本の所有権者に相当します。)であるZagora Management Ltd社(「Zagora社」)の第1被告に対する請求については、Zagora社は建物保証において被保険者ではないとの事実に基づき、敗訴しました。

個人としての賃借権保有者(leaseholder)としての原告は、チューリッヒ社に対し(より正確に言えば、本件の事業の譲渡を受けた第3被告に対し)、本件建物には深刻な欠陥があり、主たる、かつ、高額の修理が必要であり、本件の建物保証によるカバーに該当する、との理由で、勝訴しました。

本件の建築を調査し、承認した第2被告に対する、Zagora社、及び、個人としての賃借権保有者による請求は、事実関係に基づき、敗訴しました。

本件は、特定の事実と保険約款に基づくものではありますが、以下のような一般的な解釈が示された点が留意されるべきです。

  1. 免責のための文言の解釈

保険約款を解釈する場合、時には、その約款が何をカバー「するべきか」についても、考慮に入れるべきである、とされました。

本件約款第2条においては、チューリッヒ社は、「新築物件の建設に要する要件を建築者が順守しなかったことにより生じた物理的損害を回復し、又は、修理するために要する合理的な費用」を支払うことに合意した。本件約款は、「第2条に基づいては支払われない事項」と題するリストを規定している、とされました。

原告は、保険約款の適切な解釈は、約款は、個々の部屋の所有者に対して、その者自身の所有部分とその共有部分の双方について、有効な建物を保証する保険を提供する目的で発行されたという前提、及び、保険のカバーを廃棄、制限、又は、限定する効果を持つような文言については、限定的な解釈が施されるべきであるという前提から始めるべきである、と主張しました。

これに対して、保険者は、本件約款は、保険会社と個々の資産保有者との間で締結された、明確な約款であり、多数の詳細な条件が規定されているものの、それらは自然な、通常の意味に解釈されるべきであり、約款が何をカバー「するべき」かについての前提なしに、解釈されるべきである、と主張しました。

裁判官は、「支払われない事項」との文言は、免責された事項というよりは、付保されていない事項の記述と合致するものの、一定の事項は、カバーから除外されているとの原則と理解できる、と判示しました。そこで、裁判官は、個々の事項について、その文言により、適切に解釈することが必要である、と考えました。

解釈の最初のポイントは、使用された文言の自然な、通常の意味であり、それは、被保険者が合理的に、カバーされたものであると信じた点には劣後しない、とされました。しかしながら、「使用された文言が、目的とされた事柄について、合理的な余地を残す場合には、約款の明確な目的によれば付保されたであろう保険カバーの範囲を不合理に制限するような解釈はさけるべきである。特に、保険者が、他の場合であれば付保されたような、真に不明確な免責事項を含む場合は、そうである。」と判示されました。

2.前提条件の順守

裁判官は、さらに、本件約款において、請求の通知が、保険カバーの前提条件であるか否か、を検討しました。裁判官は、本件約款の関連する条項は、それが前提条件であると記載せず、また、通知の条項を順守しなかった場合の効果も規定していないから、前提条件ではない、と判示しました。当該条項は、違反の効果が規定されていない部分に記載されていました(他の部分においては、「弊社はお支払いをいたしません。」と明示され、従って、前提条件となります。)。

3.回復費用の補償

本件約款は、「物理的な損害を回復する、又は、修理するための合理的な費用」をカバーしています。「物理的な損害」は、「新築物件の物理的な状態が意図された物理的な状態と相当に異なること」と定義されています。争点の一つは、原告が修理を行わないであろう場合にまで対応すべきかどうか、という点でした。

原告は、状態の回復が事実上行われない場合であっても、補償を得る権限がある、と主張しました。裁判官は、問題となる条項の検討が必要である、と強調しました。約款には、原状回復の条項が明示され、また、回復、又は、修理が現に行われるべきことを求める明文規定もないこと(又は、被保険者が、真に、確定的に、かつ、可能なものとして、回復する意図を有していることを証明することを要求していないこと)を根拠として、約款中には、上記のような要件は含まれていない、と判示しました。

コメント

本判決は、特に、被保険者が消費者ではないこと、また、免責規定は狭く解釈されるべきものと判示したことにおいて、注目すべきものです。本判決は、当事者の意図は、約款の文言に明確に示されるべきことを強調しました。裁判官は、約款は、常識や、文言の通常の意味を用いて、解釈しました。一定の事項は、約款の文言により、免責されているか、付保されていないものとされましたが、潜在的に併存しうる原因が除外されるような場合には、保険カバーの意義が考慮されるべきです。「弊社はお支払いいたしません。」との文言が、付保されない事項のリストを示すように見え、他方、一定の事項が免責されるものと理解しうるような場合には、その文言や約款の他の条項との関係に着目して、それらの事項の意義を確保することが必要です。

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