QCR Winter 2018-5: 海上物品運送―運送契約は、傭船契約によるものか、船荷証券によるものか。

QCR Winter 2018-5: 海上物品運送―運送契約は、傭船契約によるものか、船荷証券によるものか。

MOUNT ISA MINES LTD V THE SHIP "THOR COMMANDER" [2018] FCA 1326, Federal Court of Australia

事実
2015年1月、本船「Thor Commander」号は、チリのAngamosからオーストラリアのTownsvilleへの航海の途中、エンジンが故障し、グレート・バリヤ・リーフの方向に、漂流しました。救助者が直ちに従事しましたが、オーストラリア海事安全局(Australian Maritime Safety Authority (「AMSA」))は、救助者がきちんと間に合って、本船に到着するか、心配になりました。他船「Xinfa Hai」号が支援を申し出たため、AMSAは、本船に対して、救助者のタグが到着するまで、その他船による曳船を受け入れるよう、指示しました。救助契約を結ぶことなく、その他船は、本船をリーフから離すように、5時間、曳船し、その頃、救助者のタグが本船を支援するようになりました。本船は、この時、本船自身の10倍の価値を持つ、Mount Isa社の同陽極(copper anade)の貨物を運送していました。本船は、プールの定めにより、傭船契約に基づいて、交替した(substitute)ものであり、元々の船舶とは異なる船主の物でした。Mount Isa社を荷受人、及び、被通知人とするストレイトBLが、本船の代理店により、作成されました。

本船は、救助された後、Gladstoneへ運ばれ、そこで、1通のBL原本と補償状の呈示と引き換えに、Mount Isa社に対して、貨物の一部が引渡されました。その貨物は、GladstoneからTownsvilleまで、147,956.27豪州ドルの費用をかけた追加輸送が必要となりました。

共同海損が宣言され、Mount Isa社は、Xinfa Hai号に対して、その支援につき、100万米ドルを支払いました。Mount Isa社と本船船主との間で紛争が生じ、以下の争点が、オーストリアの連邦裁判所に提起されました。

  1. どの運送契約がMount Isa社と船主との間に適用されるか。船荷証券か傭船契約か。
  2. 荷送人がまだ、Mount Isa社に対して、権利を移転していない時点で、同社は、ストレイトBLに基づき、船主に対して訴えを提起できるか。
  3. Mount Isa社は、救助契約に基づきXinfa Hai号に支払った救助費100万米ドルを、船主に対して賠償請求することができるか。
  4. 補償状により、Mount Isa社は、追加輸送の費用を請求することを妨げら  
    れるか。
  5. Mount Isa社は、共同海損において、責任を負うか。

争点となったヘーグ・ルールは、オーストラリアCOGSAとして制定されたもので、「修正されたヘーグ・ルール」と呼称されています。

判決

裁判所は、以下のとおり、判示しました。

  1. 船舶の交替は、交替した船舶の船主との傭船契約の更改(novation)とはなら  
    ない、とされました。本船の船主は、元々の船主に代わって、傭船契約の当事 
    者とはなりません。更改となるためには、元々の傭船契約の終了、つまり、元々 
    の船主の義務の否定が必要です。従って、交替した船の船主が傭船契約の当事
    者ではない場合、それと貨物所有者との間には、船荷証券上の条項が適用され
    ます。荷送人は、船荷証券において、Mount Isa社との間で、事前に存在した
    ような関係には立ちません。
     
  2. Mount Isa社は、船荷証券の正当な所持人として、1996年海上運送書面法(Sea-Carriage Documents Act)第6条、第8条の効果として、運送契約としての船荷証券に基づく全ての権利を行使することができる。
  3. Mount Isa社の保険者は、救助に基づく請求について和解するために、Xinfa Hai号に対し、100万米ドルを支払うことに合意しました。本船船主は、その負担割合を10万ドルとして和解しましたが、裁判所は、Mount Isa社がXinfa Hai号と救助報酬請求について和解する際に合理的に行動していたか、を評価することを求められました。裁判所は、Mount Isa社は、オーストリアの裁判所によりいかなる範囲の救助報酬が認定されるか、について、オーストラリアの弁護士から助言を求めていなかったことを認定しました。また、Mount Isa社は、本船船主に対して損害賠償を求めている和解が損害として請求しうるものと証明するために必要な証拠に関しても、法的助言を求めていなかったことが認定されました。裁判所は、Mount Isa社が合理的に行動していなかったと認定しながらも、最終的には、海難救助条約を考慮して、100万米ドルの救助報酬は合理的である、と判断しました。Xinfa Hai号は、AMSAの指示がどうであれ、本船との関係では、自発的でした。その行動は、危難にある船を助けるために行われたものですから、救助活動と認められます。Xinfa Hai号の船員により、大変な技術と努力が行われ、また、危険な要素も認められました。救助された価値の総額は7000万米ドルで、その内の10%が本船の価値で、90%が貨物の価値でした。100万米ドルの救助報酬の総額は比例配分され、Mount Isa社は、Xinfa Hai号に支払った100万米ドルの内の909,000米ドルは、本船の船主から回収することができることになります。

  4. Mount Isa社は、補償状の文言により、本船船主から追加輸送費を回収することを妨げられることはない、とされました。追加輸送の費用は、本船がTownsvilleではなく、Gladstoneにいたから発生したものです。Mount Isa社は、損失を軽減するために、Gladstoneにおいて、貨物の一部の引渡しを受けることに合意しました。補償状の目的は、第三者への違法な引渡しに対して、保護を与えるものですから、Mount Isa社はこれに含まれません。
     
  5. 共同海損の問題については、証拠によれば、機関長、及び、技術監督者は、燃料注入ノズル(fuel injection nozzle)(これがエンジン故障を生じさせました。)が交換されるべきであったことを知りながら、それを行わなかったことが認められました。この燃料注入のずるを交換せず、燃料注入バルブを洗浄しなかったことは、航海の前、及び、開始時に、船の堪航性を保持し、船に適切に艤装し供給することについて、適切な注意を払う義務を怠ったものであり、修正されたヘーグ・ルール第3条第1項(a)及び(b)に違反する、とされました。Mount Isa社は、不堪航の認定により、船荷証券に摂取されたヨーク・アントワープ・ルール第D条の除外規定に基づき、共同海損において救済手段を有することとなり、共同海損における分担金の額を実質的な損害として、賠償請求することができます。

コメント

裁判所が、Mount Isa社に対し、Xinfa Hai号が本船を助けるために赴いたことについて支払った額についての分担金を請求する権利を、その額の合理性を議論することなく、付与する道を開いたことは、驚くべきことではありません。他の船の救助のために赴くことを奨励することは、裁判所の慣例です。人命や、本船の安全が危機に瀕している際には、商業的な考慮は、役割を持ちません。弊クラブは、英国裁判所は、他の件でも同様の結論を出すであろうと推測いたします。

本判決は、また、航海の当初において本船に不堪航を示唆するものがある場合には、船主は、共同海損を宣言すべきではないことを想起させてくれます。メンバーの方々はお気づきになるでしょうが、共同海損精算人を選任し、ボンドその他の分担金に対する担保の形成などは、とても時間を要するものです。仮に、本船が航海の開始時において不堪航であると判断されれば、船主は、担保の額に対する利息を含む、全ての費用と損失について、責任を負わなければなりません。

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