QLU Spring 2018 May-2:裁判所はどのような場合に、フォーラム・ノン・コンビニエンスの法理を適用し、訴訟差し止め命令を棄却するのでしょうか?

QLU Spring 2018 May-2:裁判所はどのような場合に、フォーラム・ノン・コンビニエンスの法理を適用し、訴訟差し止め命令を棄却するのでしょうか?

Al Khattiya号事件:Al Khattiya の船主 対Jag Laadkiの船主/裸傭船者[2018] EWHC 389(Admlty)

事実

LNG船’Al Khattiya’とVLCC ‘Jag Laadki’が、アラブ首長国連邦(UAE)の領海内で衝突したことを受け、’Al Khattiya’の船主は ‘Jag Laadki’の姉妹船である’Jag Pooja’に対し、法的に正当な管轄を確立するために、対物訴訟を、英国ミルフォード・ヘブンで起こしました。被告は、衝突の責任を認めましたが、責任額については争う姿勢をみせました。

被告は、責任限度額が英国よりも著しく低いUAEで、訴訟手続きを開始しました。
原告は、UAEでは勝訴の見込みがないうえ、これは権利の濫用であり不当であるとして、UAEでの訴訟手続きを止めるため、英国の裁判所より訴訟差し止め命令を得ました。 被告はフォーラム・ノン・コンビニエンス*を適用して英国での訴訟手続の停止と、UAEでの訴訟差し止め命令の棄却を求めましたが、申し立ては却下されました。 (*forum non conveniens: 紛争と密接に関係する便宜適切な他の裁判所が管轄権を有するべきとする法理)

判決

  1. Spiliada [1987] 1 Lloyd's Rep 1の判例により、原告が、対物訴訟を申し立てることにより、その正当な権利として訴訟手続きを開始した場合は、英国が適切な裁判地ではないことだけでなく、UAEが明確に疑いなく適切な裁判地であることの立証責任が、原告にあります。この点において、被告はUAEが適切な裁判地であることを証明できませんでした。
  2. 被告は責任を認めており、責任額のみを争いの対象としていましたが、それは、関連する証人や調査結果が存在する、衝突が発生した国を適切な裁判地とする、まさにその要素を上回るものです。
  3. 原告側証人が話す言語や原告側鑑定人の所在地などの連結点によって、時に不法行為が発生した場所を適切な裁判地とせず、その裁判のための適切な裁判地を英国とすることができます。
  4. 以上により、被告によるフォーラム・ノン・コンビニエンスの適用の申し立ては棄却されました。
  5. 傍論として、訴訟差し止め命令が下されるためには、英国が当然の裁判地である必要はありません。英国が、外国において行われている訴訟手続きが、権利の濫用であり不当であると判断するのに適切であれば、十分であるといえます。

コメント

この判決は、フォーラム・ノン・コンビニエンスが適用されるケースにおいて適切な裁判所を選ぶ際、不法行為の発生した場所との関連性について助けとなる分析を示しています。

裁判官は、不法行為の起きた場所は、出発点としてのみ関連性を持つとしました。上記の連結点とは別に、裁判官は、最も適切な裁判地としてイングランドを指摘した場合のさらなる連結点として次の事実が挙げられました。
まず両当事者は、同様の問題によく通じている英国系のP&Iクラブおよびロンドンの海事弁護士が代理人となっていたこと、そして次に、原告のテクニカル・マネージャーはロンドンに拠点があり、多くの証拠書類もロンドンにあるという事実でした。

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