QLU Spring 2018- 4: アテネ条約の下での運送の定義

Collins v Lawrence [2017] EWCA Civ 2268事実

本件原告は、被告が所有する船で釣りを行いました。下船するためには、あるビーチへボートを乗り上げ、自立型で半永久的な階段を使用してビーチに降りるのが、一般的な方法でした。この下船のための装置、すなわち階段は、被告によって提供されたものでした。申立人は、下船中に怪我をし、人身傷害の損害賠償を請求しました。

このクレームでは、運送(Carriage)とは、「旅客及びその手荷物が船上にある間又は

乗船・下船中の期間

をさす。...但し、旅客に関しては、運送は、港湾ターミナル、発着所、桟橋、又はその他の港湾施設内にいる期間を含まない。」と定義する、1974年の旅客及びその手荷物の海上運送に関するアテネ条約の2002年議定書による修正版(以下、「アテネ条約」)の第1条8項の下での、運送(carriage)の定義が焦点となりました。本件の第一審での裁判官は、原告が海岸で安全に存在することになるまで、下船が完了していない、と指摘しました。したがって、アテネ条約が適用され、本クレームは2年間の提訴期限に基づき、時効とされました。申立人はこの決定に対して上訴する許可を求めましたが、棄却されました。

判決

英国控訴院は、第一審の判決を支持し、アテネ条約に基づく下船のプロセスが、船舶から岸辺の安全な場所に移動する期間全体をカバーしており、被告によって提供された下船を助けるための装置、即ち本件においては階段、を使用している間、その人はまだ下船中であったと認めました。 したがって、控訴院は、第1審の裁判官を支持し、アテネ条約に基づくクレームであること、またそのため、本請求は時効にかかっていることに合意しました。 控訴院は、本件請求は、乗客が本船のタラップを使用する場合や、本船のテンダーボートで陸に移動する状況に類似しているとし、他方、この状況は、下船の際に港湾設備が使用される状況とは異なるものとしました。

コメント

本件は、アテネ条約の下での「運送」の定義を明確にした有益な判決です。 また、本件に関連してJennings v TUI UK Limitedおよび「Norwegian Jade」[2017] EWCA Civ 2222と併せてお読みいただくことを推奨します。

これらのケースに関するクラブの記事は、以下のリンクからお読みいただけます。

"Legal Update: key ruling on the definition of "carriage" under the Athens Convention":

https://www.ukpandi.com/knowledge-publications/article/legal-update-key-ruling-on-the-definition-of-carriage-under-the-athens-convention-142326/

Staff Author

PI Club

Date2018/06/18