16/11 - 船主の海事クレーム保険に関するEU保険指令 - EU Insurance Directive

アウトライン

  • EU加盟各国は2012年1月1日までに、EU保険指令(Insurance Directive)に準拠するために必要となる国内法を導入する事が求められています。
  • 多くのEU諸国は、標準的な国際グループ・クラブの加入証明書を、同指令が求める保険付保の証明として容認する事を表明しています。
  • クラブ・メンバーの船舶で該当国に寄港する船舶は、本指令に準拠するための金銭的保証についての追加証明を求められることはありません。
  • 国際グループは、引続き2012年1月1日の期限までに準拠していないEU諸国と連絡を取り、歩調を合わせるよう働きかけて参ります。
組合員各位、

船主の海事クレームに対する保険に関わる

2009年4月23日付欧州議会および理事会指令 2009/20/EC

(Insurance Directive) 

以前クラブ回覧13/09にてご案内したとおり、EU加盟諸国は、2012年1月1日までに、EU保険指令(Insurance Directive)に準拠するために必要となる法律、規則及び行政上の管理規定を導入する事が求められています。

この保険指令とは、300総トン以上の船舶の所有者に対し、海事クレームを填補する保険付保を維持することを求めており、その保険の填補内容は1996年LLMC(1976年海事債権責任制限条約を改正する1996年議定書)の下で、当該船舶の責任制限額までをカバーする保険でなければならないとしています。本指令では、船舶がEU加盟国に入港する場合、あるいはEU加盟国を旗国としている場合、この付保を保険証書によって証明しなければならないとしています。

本指令における「保険」の定義は、「免責の有無を問わず、例えばP&Iの国際グループの加盟クラブが現在提供している賠償責任保険や、その他効果的な保険形態(証明済自家保険を含む)及び同様の条件をカバーする財務保証」となっています。

国際グループは、EU加盟各国が寄港国として、また旗国として、グループ・クラブ発行の加入証明書を本指令準拠の証明として容認するかどうかを確認しています。

本指令は、保険者が発行する保険証書に、以下の情報を記載しなければならないとしています。

  1. 船舶の名称、IMO番号、および船籍港
  2. 船舶所有者の名称と主たる事業所の所在地
  3. 保険種類と保険期間
  4. 保険者の名称とその主たる事業所所在地、また適宜、保険契約の締結地

上記の情報は、全てのグループ・クラブが発行する加入証明書にすでに含まれています。

多くのEU諸国は、同指令により求められる保険付保の証明として、標準的な国際グループ・クラブの加入証明書を300総トン以上の船舶に備え置くことで容認する事を表明しています。そのため、国際グループ・クラブに加入し、これら該当国に寄港する船舶は、本指令に準拠するための金銭的保証についての追加証明を求められることはありません。

国際グループ・クラブとしては、いくつかのEU加盟国は、2012年1月1日の移行日に間に合わないため同日付で本指令を実施する体制にない国があると理解しています。国際グループは、これらEU加盟国との折衝を継続し、移行日に準拠する諸国と同様の措置を取り、本指令がEU全体で統一的に実施されるよう働きかけて参ります。

本指令の定義では、「船舶所有者」とは外航船舶の登録所有者、あるいは船舶の運航に責任のある裸用船者などその他の者としています。バンカー条約*のために国際グループ・クラブが発行している資力保証証明書(ブルーカード)との一貫性を保つため、国際グループ・クラブは登録船主の登記された住所を挿入することとしました。

* バンカー条約:2001年燃料油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約
The International Convention on Civil Liability for Bunker Oil Pollution Damage, 2001

国際グループは、引続き2012年1月1日の期限までに準拠が見込めないEU加盟国と連絡を取り、本指令の国内実施日の確認を続けて参ります。

国際グループの全てのクラブより、同様の回覧が発行されています。

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Staff Author

PI Club

Date2011/12/15