08/08 -  ハイブリッド資本  《本ハイブリッド資本の募集期間は終了しています。》

Trulli

本状および添付の『よくある質問』は情報を提供するだけの目的であり、いかなる取引を勧誘、推薦あるいは締結を促すものではなく、投資に対する助言を提供するものとして取り扱われるべきものではありません。いかなる投資の条件も、リスクに関する情報を含む詳細を記した目論見書及び関連文書の規定に基づくものといたします。

尚、2008年8月に本債券の募集期間は終了しました。

メンバー各位、

当クラブは、このたび約1億ドルのコーラブル型永久劣後証券(ハイブリッド資本)の発行を行うことを承認するに至りましたことをご報告いたします。当該証券はロンドン証券取引所に上場される予定です。多くの保険会社がその株主の利益を損なうことなく、その資本余力(ソルベンシー)の強化のためにハイブリッド資本を発行してきたように、当クラブもハイブリッド資本を発行することによってメンバーの利益を損なうことなくクラブの資本基盤を強化することが可能となります。

当クラブは、現在英国金融庁(FSA)との間で、自己資本査定基準(Individual Capital Assessment regime)のもと、合意されたソルベンシー要件を十分に満たしております。しかしながら、英国のICA基準はEUが導入予定のソルベンシーIIの要件を見据えたものであると言っても、クラブにとってはあるリスクをはらんでいます。それは2012年には導入されるであろうソルベンシーII指令の施行日までの期間に、当クラブが自由準備金の構築を進めるより早く、英国の監督官庁や行政がソルベンシー要件の強化を推し進めるのではないかというリスクです。そのためクラブ理事会は本ハイブリッド資本の発行を承認いたしました。

ハイブリッド資本とは、基本的に債券でありながら、株式の特徴も持っているため資本として扱うことができる金融商品です。清算時における残余財産の分配においては、すべての債権者及びメンバーへの保険金の支払に劣後しますが、メンバーへの「剰余金の分配」より優先されます。したがって、ハイブリッド資本のコストは、債務コストというより、株式コストに近いといえます。当クラブのハイブリッド資本は、当初5年間は9%の固定金利をお支払いします。発行後5年経過後は、あらかじめ設定したスプレッド(上乗せ金利)つきの変動金利となります。そして10年経過時点で、同スプレッドにさらに1%のステップ・アップ金利が加算されます。あらかじめ設定したスプレッドとは、発行時における固定クーポンと5年ミッド・スワップ・レートとの格差です。

前述のとおり、本ハイブリッド資本は、債券でありながら損失を調整するよう設計された株式のような特徴を持っています。満期日の定めがなく、投資家は償還を求めることはできません。発行から5年経過するとクラブに償還の可否を選択する権利が生じます。10年経過後に1%のステップ・アップがあるということは、発行体(当クラブ)にその期日あるいはそれ以降に償還するよう経済的インセンティブを与える意味を持っています。ただし、常に当クラブには償還の義務はありません。

クラブはまた一定の条件のもとで、利払いを繰延べすることができます。しかし投資家に対して一定のセーフ・ガードが設定されています。例えば、クラブは投資家に利払いするまで、保険料の余剰分配をすることはできないなどです。

ハイブリッド資本を発行した場合にかかる(取引費用を除いた)純費用は、ハイブリッド証券にかかる支払利息と、投資受取収益の差額です。例えば、発行から最初の5年間に米国債5年物に投資したと仮定すると、クラブの純費用はおよそ450万ドルとなります。当クラブの純費用は偶発事故準備金(Contingency Account)から出され、メンバーの保険成績、ロス・レシオに影響することはありません。

当クラブでは、公募債として市場で販売する前のプロセスとして(理事を通し)すでにメンバー数社から投資の確約を受けています。理事会は、クラブやその特殊な信用性についてよく理解されておられる多くのメンバーの皆様には、クラブのハイブリッド資本をひとつの投資の機会とみていただけるであろうということから、法的に制限のないメンバーの皆様に投資の機会を提供しようではないかと判断いたしました。すべてのメンバーがその国内法規上、投資できるわけではありませんが、法的アドバイスや関係法令等を考慮にいれた結果、理事会はいくつかの国のメンバーに機会の提供だけでもするよう判断しました。これらメンバーには別途(クラブの投資顧問銀行である) UBSから、詳細を明記した正式な目論見書が同封された通知書が送付されます。

このようなハイブリッド資本の発行はP&Iクラブでは初の試みですが、このような資本の形態は保険業界では広く活用されています。理事会は、クラブにとってこのハイブリッド資本の発行は、自由準備金を強化し、法規制の求めているクラブの支払余力資本をもっとも経済的に増加させる方法であると確信しています。当クラブはP&I 相互保険組合として、従来どおりの方法で準備金を保有してまいりますが、このハイブリッド資本を発行することが、将来予想される法体系により要求されるであろうソルベンシー要件を満たすために積増すセーフガードとなることと信じております。

本状には「よくある質問」のリストを添付いたしますが、ご不明の点はクラブ管理者あるいは、日本支店へご連絡ください。

Staff Author

PI Club

Date2010/09/01