Press Release: ブロックチェーンが海運業界に変革を起こす-UKP&Iクラブ・コメント

ブロックチェーン契約に関するLegal Briefing誌の発行にあたり、UK P&Iクラブのクレーム・エクゼクティブFilip Koscieleckiが、この技術が海運業界とって、いかに有益であるかをご説明します。

ブロックチェーンは、海運業界で新しい業界用語になっており、ますます避けては通れない状況です。 しかし、業界内の多くの人々は、ブロックチェーン技術がどのようなもので、どのように機能するのかに疑問を持っています。

ブロックチェーンの説明

ブロックチェーンは、基本的にオンライン通信のプロトコルであって、独立したユーザー同士が、一つのトランザクションに参加できるようにするもので、そのトランザクションについて他者よりも強い権限を持つユーザーが存在することはありません。 その取引のすべての当事者は同じ情報にアクセスすることができますが、他者の許可を得ることなく一方的に取引を修正・変更することはできません。

すべてのプロセスは洗練された暗号技術によって保護されており、トランザクション・レジャーの正確なコピーが参加者に配布され、取引が外部当事者によって操作されることは事実上不可能です。

ブロックチェーンと海運業界

ブロックチェーンは、例えば物品の輸送など、複数の関係者が重要な目標を達成するために、大量の情報を交換しなければならない、というようなシナリオで活用することができます。

物資をある場所から別の場所に移動するためには、多数の当事者が、このプロセスの様々な段階でそれぞれ契約を締結しすることで合意に達する必要があります。これら契約のなかでも、販売契約などの合意書は、望み通りの結果を得るための全体的なロードマップが作れます。しかしその履行を円滑に進めるためには傭船契約や船荷証券など、その他の契約を締結しなければなりません。

ブロックチェーンは、契約の当事者間の契約条件を、自動的に実行・監視できるコンピュータ・ソフトに変換することができます。技術がさらに発達すれば、日常使用する言語による契約が完全になくなり、すべてがコードで構成される契約に置き換えられる可能性もあるかもしれません。技術がさらに発達すれば、日常使用する言語による契約が完全になくなり、すべてがコードで構成される契約に置き換えられる可能性もあるかもしれません。

海運業界においてスマート・コントラクトを使用することによる潜在的利益は、相当なものです。スマート・コントラクトは、海運業界に変革をもたらすことができ、正確性、セキュリティ、透明性を向上させるとともに、中間業者への依存度を減らし、時間の節約ができます。

ブロックチェーンとスマート・コントラクトが貿易に及ぼす影響はかなりあると予測されています。世界経済フォーラムは、GDPの10%が2027年までにブロックチェーンで管理されると予想しています。 ブロックチェーン技術の恩恵を受ける最初の契約は、販売契約や貿易契約、傭船契約、船荷証券などの主な基本契約になる可能性が高いと思われます。

法的ハードル

ブロックチェーン契約の大半は管轄区域を越えて締結するため、「所有者(Ownership)」や「商品の所有権(Title of goods)」などの基本的な契約上のコンセプトが、法的な障害となる可能性があります。 当事者の執行権を確保するためには、主要管轄区域によるブロックチェーン契約の承認が重要となります。

しかしながら情報の伝達や交換のための電子的手段は、しばらくの間、利用されてきました。そのため、ほとんどの管轄区域は、もはや電子的に作成される契約書の可能性に疑問を呈することはありません。

スマートコントラクトの技術はまだ始まったばかりなので、それを取り巻く法的問題がどのように解決されるかはまだ分かりません。

それでも、スマートコントラクトは、徐々に海運業界に広く普及するようになるでしょう。 スマートコントラクトは、長年にわたり、貿易に悪影響を及ぼしてきた問題に、実践的な解決策を見出します。 時の経過とともに、この差し迫った商業革命に対応するために、法律や規制は間違いなく進化し、スマートコントラクトを取り巻く不確実性は徐々に減少していくでしょう。

ブロックチェーンとこれに伴う法的な課題については、UK P&IクラブのLegal Briefingをご参照ください。

https://www.ukpandi.com/knowledge-publications/publications/article/legal-briefing-contracts-are-getting-smarter-143841/

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1.

http://www3.weforum.org/docs/WEF_GAC15_Technological_Tipping_Points_report_2015.pdf

For further details, please contact:

Jonathan Atkins / Alastair Doyle

Four Broadgate

UKP&I@fourbroadgate.com

+44 (0) 20 3697 4200

Notes to Editors

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Founded in 1885, Thomas Miller's origins are in the provision of management services to mutual organisations, particularly in the international transport and professional indemnity sectors; where today they manage a large percentage of the foremost insurance mutuals. Thomas Miller also manages insurance facilities for all the self-employed barristers in England & Wales, as well as trustees of pension schemes, patent agents and housing associations.

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Staff Author

PI Club

Date2018/05/24