事故の教訓: 乗組員の係留作業中の怪我

Trulli

船種: ばら積み船

事故の概要

ばら積み船が原料ターミナルに着けて揚げ荷作業を行っていた。本船の位置を変更するために、ターミナルは本船の船長へ約100メートル、船尾側へシフトするよう要求した。

要求された時間に、乗組員は係留配置につき、メインエンジンは使用可能な状態で待機状態に置かれた。計画では、係留ラインのみを使用して船尾方向へ本船を移動させることになっていた。船首方向からの引き潮の中、係留ラインは、ビットからビットへとショアラインマンによって送られた。

移動操作中、船長は本船が後進しすぎているのではないかと懸念を抱き、船首および船尾係留要員に船首ヘッドラインと船尾バックスプリングロープを使用して動きを確認するよう命じた。船尾甲板では、甲板手がバックスプリングウインチブレーキを締め、ロープに張力がかかると、前触れもなくロープが切れて、そのロープの一端が跳ね返り、二等航海士に激しく衝突した。怪我をした船員は、肋骨の骨折に加え、深刻な内傷を負った。

分析

この事故は、シフト作業中、制御不能となった結果であった。 強い引き潮が本船に及ぼす影響が適切に考慮されておらず、制御不能となるまでメインエンジンの使用を怠ったことによるものである。

本件は、破断点での局所的な摩耗損傷と、甲板手がウィンチブレーキを締めすぎて、ブレーキがロープの破断荷重を下回らなかったことによりロープが破断したと判断された。 合成繊維のロープは張力がかかった状態で伸び、負荷がかかっているときに切れると、蓄積されたエネルギーが突然放出され、驚くべき速度でスナップバックし、進行方向にいる人が死亡または負傷する危険がある。

事故の教訓

  • すべての係留作業は、関係するすべての乗組員が作業の実施方法と潜在的な危険および安全上の注意事項を認識できるように、適切にリスク評価および計画する必要がある。
  • 係留機器とロープは、製造元の指示に従って保守し、頻繁に確認する必要がある。
  • ウィンチブレーキを締めすぎると、係留ロープの破断荷重を超過する可能性がある。
  • 操業中、係留甲板全体がスナップバックゾーンになる可能性があることに注意すること。また、張力がかかっているときは、係留ロープには近づかないこと。

Staff Author

PI Club

Date2019/08/22