事故の教訓: 漁船との衝突事故
バルク・キャリアー
事故の概要本船は夜間に沿岸水域を航行していた。好天に恵まれ、視界は良好であった。 当直航海士(OOW)は自動操舵とし、見張りとして甲板手を伴っていた。距離5マイル、船首右約1ポイントに1隻の船がいることを発見、ARPA上でも捕らえられていた。航海灯は不明瞭であったが、そのターゲット船は小さく、また明るい照明を発していたため、OOWはその船舶が漁船であると識別した。レーダープロットでは、漁船はゆっくり横切っており、そのままの進路では衝突の恐れがあることを示していた。ターゲットの距離が約1.5マイルになったとき、OOWは本船の針路を右舷に22度変針し、ブリッジの信号灯を使用して漁船の乗組員に警告を発した。この進路変更の直後、漁船が左舷側から右舷側を横切るように針路を変更したため、OOWは左舷に変針し元の針路に戻した。漁船は右舷船首に非常に接近しており、再度進路を変えたが、本船の右舷側と衝突した。
分析良いタイミングで漁船を発見したにもかかわらず、当直航海士は衝突を避けるための適切な措置をとらなかった。進路の変更が小さすぎ、かつ遅すぎたため、漁船と接近する状況を防げなかったのである。漁業に従事する船舶が多くいる海域においては、十分な離隔距離をとるのは難しいと言われているが、OOWは、漁船の密集海域を避けるため、早期にかつ明白な行動をとること、また、意思決定に時間をかけられるように減速するということも考慮に入れるべきである。漁船は、適切な見張りや、期待通りの操舵、あるいは、操業中の漁船にとっては、海上衝突予防法においては優先適用を示す正しい灯火の掲揚、を常に期待できない場合がある。バルクキャリアはまた、漁船の乗組員に警告するために音響信号を使用することを怠った。
事故の教訓- 衝突の恐れがあると判断された場合は、早期かつ大胆な回避行動を講じ、その有効性を注意深く監視しなければならない。
- 漁船がいる海域を航行する場合、適切な当直体制をしき、厳重な警戒が必要である。
- 船舶輻輳海域またはその近くを航行する場合は、減速や手動操舵をすることを考慮する必要がある。
- 海上衝突予防法に要求されている音響信号を使用することを忘れてはならない。
- 「当て逃げ」の申し立てに晒される危険を決して犯すべきではない。 相手船と積極的にコミュニケーションをとり、できる限りの支援を提供しなければならない。
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