QLU Spring 2017 May-6:インタークラブ・アグリーメントの効果について指標を提供する2つの事案
本船は、ソヤ・ビーンを運ぶ定期傭船の航海に提供されました。傭船者は、貨物への支払を受けなかったため、荷揚港の外で、4か月以上、待機することを指示しました。カーゴ・クレームが船主に対して提起されましたが、それは和解で解決されました。船主は、ICAに基づき、傭船者に対して求償を請求しました。
仲裁法廷は、本船を荷揚港の外で待させるよう決断したことは、ICA第8条(d)にいう「行為」に該当するから、100%傭船者が負担しなければならない、と判示しました。傭船者は、異議を申出ました。
判決:上訴は、棄却される。ICAにおける「行為、又は、過失」との文言は、過失、又は、落ち度という要素を必要としない。また、「行為」という文言は、過失についての問題に関係なく、通常の、自然な意義を有するものと理解されるべきである。
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ロンドン仲裁事件30/16号:
傭船者が船積に責任を有する場合、仲裁廷は、安定しない貨物を船積することは、ICA第8条(d)の「行為」に該当する、と判示しました。
さらに、左の場合におけるカーゴ・クレームが防御できたものの、それに要した費用を敗訴した原告から回収できなかった場合には、その費用は、ICA第4条の「カーゴ・クレーム」の定義に含まれる、とも判示しました。
コメント:これらの決定は、ICAの元来の目的、すなわち、ICAが摂取されている傭船契約の当事者が高額の調査費や法的費用を要することを避けるべく、その傭船契約に基づく貨物責任の分配について簡明な方式を提供することに調和しています。ICAに関しては、苦難を被ったことや、道徳上の不適切さは、関係ありません。