FAQ: Covid-19 と保険カバーについて

新型コロナウイルス(COVID-19)の爆発的な感染拡大にともない、ここ数週間でメンバーの皆様からたくさんの問合せとご質問が寄せられています。今回ご用意したFAQでは、メンバーの皆様に向けて、COVID-19についてのよくある質問に対する回答と当クラブの保険カバーについてご案内しております。

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Q1. COVID-19を起因として、乗組員が感染症を発症または死亡した場合、当該船舶のP&I保険でカバーされますか?

P&Iカバーは、船員の疾病および疾病の結果から生じる死亡に対する損害賠償又は補償の支払いに対するメンバーの責任に対応します。これには疾病および 死亡に関連して必然的に生じた入院、治療、葬儀その他の諸費用を含みます。その責任とは、通常、クラブ管理者が承認した雇用契約の条件や、場合によってはコモンロー(慣習法)の下で発生するものです。乗組員が新型コロナウイルス感染症を発症またはその結果死亡した場合も、船員のその他の疾病や死亡クレームの場合と同様に扱われます。

Q2. 乗組員が海上勤務中に新型コロナウイルス感染が疑がわれたが、潜伏期間のため帰国するまで陽性と判明しなかった状況でも、クラブは乗組員の医療費や疾病手当を支払いますか?

メンバーは乗組員に対して厳格な契約上の義務を負い、乗船勤務中に適用されるほか、船舶に直接乗船、下船するための移動中にも適用され、その間に船員はCOVID-19にさらされる可能性があります。医学的アドバイスや政府の渡航ガイダンスは関係しますが、当クラブは一般的に、COVID-19が確認された症例に対し、乗組員の医療費と疾病手当の支払いに、総じて同情的に考えています。乗組員は帰国後、一般的に認められている自己隔離に関するWHOのガイダンスまたはその時点で有効な国内ガイダンスに従う必要があります。

Q3. 乗組員の本国送還にあたり、下船する国の制限により、乗組員がホテルその他の施設に一定期間自己隔離のために滞在する必要がある場合、クラブはメンバーが負担した関連費用を支払いますか ? 

下船する乗組員が病気や症状を示しておらず、ホテルまたは特別な施設での乗組員の隔離の要件が純粋に予防的である場合、乗組員を「隔離」しておくための関連費用、すなわち宿泊費、旅費、生活費、乗組員の賃金などはオペレーションコストと見なされ、P&Iの対象にはなりません。

しかし、実質的に本国送還を待って隔離されている間に乗組員が病気やケガ、あるいは死亡した場合は、乗組員との雇用契約や労働協約(CBA)により、メンバーに責任があるとされる可能性があります。その場合には、当該クレームはP&Iカバーの対象となります。

Q4. もしCovid-19に感染あるいはその疑いのある加入船舶から、健康な船員が下船する際に隔離が必要とされた場合、(隔離期間中の宿泊費や生活費、乗組員の賃金を含む)隔離費用は補償されますか?

加入船舶に感染症が発生していない場合、防疫に関するルールによる補償は行われません。したがって、予防措置として乗組員が隔離されたために発生した追加費用は回収できません。

ただし、感染した船舶から下船した健康な乗組員を隔離する必要がある状況では、ルール第2条16項に基づく防疫費用に関する補償が得られます。

Q5. COVID-19に感染した乗組員が上陸して治療を受けるために加入船舶が離路を余儀なくされた場合、P&Iはどのような費用を負担しますか?

病気の性質に関係なく、船内で病気になった乗組員に適切な医療を受けさせるために、船舶は予定航路から離路する必要があるかもしれません。

燃料費、保険料、賃金、船用品、食料及び 港費にかかわる離路の正味費用(離路しなくとも当然支出したであろう 費用を超えるもの)はルール第2条第7項に基づいてカバーされます。

世界中で状況は急速に変化するので、メンバーの皆様は、下船予定の港で起こりうる制限に関する最新情報を入手する必要があるため、まずクラブ管理者にご連絡ください。港での制限は乗組員が下船できるかどうかを左右し、別の手配が必要になる可能性があるためです。

Q6. クラブルール上の防疫費用の対象となる費用は? 

ルール第2条第16項に基づき、クラブは、当該船舶での感染症の発生の直接的な結果として発生した追加費用について補償します。

これらには防疫費、消毒費及び船主の純損失、すなわち (発生しなくても当然生じた費用を超える)燃料費、保険料、賃金、船用品、食料及び港費を含みます。

カバーを適用するには、当該船舶において感染症が発生している場合に限ることにご注意ください。

感染の疑いのために、あるいは特定の港から到着する船舶に対する通常の制限の結果として、当該船舶の入港が遅れたり、拒否されても、保険カバーは発動されません。

当クラブはまた、地方や国家当局からの検疫命令に船が従う必要がある場合、防疫と消毒の費用はカバーします。ただし、当該船舶に感染症が発生した場合のみです。

Q7. 多数の乗組員の契約が満了しているか、まもなく期限切れになる予定であり、船主はコロナウイルスの発生とさまざまな港での制限措置により、雇用契約の条件に従って必要な乗組員の交代を行うことができない。これは船舶の堪航性に影響しますか?

いいえ、ただし船舶の安全な要員レベルが旗国の要件に従って維持されている場合に限ります。

Q8. 乗船中の乗組員と、COVID-19の感染拡大を阻止するための渡航制限によって、契約の終了時に送還されない乗組員が当該船舶に残ることで乗組員が重複している場合、P&Iカバーは損なわれますか?

P&Iカバーは、契約は満了したが当該船舶に残っている船員が、本船を離れて本国送還されるまで、それらの乗組員に対するメンバーの法的責任に対応します。

Q9. スーパーインテンデントあるいはその他陸上の人員が加入船舶に乗船した結果、コロナウィルスに感染した場合、これはカバーされますか?

クラブは、加入船舶の運航により生じる、またはそれに関連した、第三者に対するメンバーの法的責任をカバーします。スーパーインテンデントや陸上の人員は当該船舶に雇用されておらず、本船の定員外人員と見なされます。

責任が発生するのは、当該船舶が何らかの過失で病気を引き起こした場合だけです。もし当該船舶が過失で彼らに病気を引き起こしたならば、クラブカバーはそのようなクレームには応じるでしょう。ただし、賢明な予防措置がすべて講じられている場合、当該船舶が彼らに対する責任を負う可能性は低く、したがって、いかなる責任も、彼らの雇用契約の下で発生し、関係する人員の雇用者やその保険会社によってカバーされるでしょう。

Q10. 検疫命令により港が閉鎖または一時的に閉鎖された場合、船舶はこの遅延に起因する貨物クレームに対して責任を負うのでしょうか?

検疫を起因とする貨物関連の損失の可能性は低いでしょう。しかし、船主は下記の事柄に関するクレームに直面する可能性があります。(i)貨物の引渡、または積荷の遅延、(ii)所管当局による検疫命令の結果として貨物の損失または価値の低下、または(iii)船舶の検疫または港の閉鎖のために指定港で揚荷ができない。

一般的には、船荷証券の約款およびヘーグ・ヴィスビー・ルールなどの船荷証券に関する国際条約の下で、船主は遅延クレームに対して完全な抗弁を有します。検疫につながる感染症の発生は、通常、不可抗力の出来事です。これは船主のコントロールが及ばない出来事であり、したがって船主は責任を負うべきではありませんが、万一(国際社会の規範から外れた)常軌を逸した裁定が下された場合には、P&Iカバーが対応します。

貨物の種類や病気の種類によっては、貨物が破壊されたり価値が下がる場合があります。遅延と同様に、船主はこの種のクレームに対して完全な抗弁を有するはずです。しかし、もし、船主が、賠償義務を法的に負うべきと判断された場合は、P&Iカバーが対応します。

Q11. 検疫命令で港が閉鎖された場合に、用船成約の解除またはその結果生じる損害についてはP&Iでカバーされますか?

不稼働またはその経済的損害に関するクレームは、クラブの補償範囲外です。

検疫命令により船舶が滞船を余儀なくされ、次航のLaycanを逸し、契約を解除されることによって船主の被った利益の損失またはその他の経済的損失については補償しません。

Staff Author

PI Club

Date2020/04/06