10/13 - 2006年海事労働条約(MLC)の発効 - 金銭上の保証

Trulli

アウトライン

  • 国際グループは、船主の破綻や本条約で定めるその他状況での船員の送還費用について、P&Iの標準てん補範囲とすることを合意しました。
  • 現在、本条約では未払賃金に対する金銭上の保証を求めておりません。
  • 本条約で規定する職業上の傷病、障害を起因とする船員の死亡や長期傷害クレームは、すでに標準的なP&Iルールでてん補対象となっています。
  • 本回覧はクラブ回覧08/13を参照しています。

組合員各位

2006年海上労働条約(MLC)の発効 - 金銭上の保証 

2013年3月に発行しました海上労働条約(MLC)に関するクラブ回覧08/13をご参照ください。本条約の発効が近づき、船主に対する要求事項、特に条約で定める金銭上の保証について焦点が絞られてきました。今回はこの点を確認するため、またメンバーへのガイダンスとして、船主に要求される金銭上の保証は、2013年8月の本条約発効とともに、以下の通り適用されることをお知らせします。

船主が求められる金銭上の保証

第2.5 基準 (規範A) - 送還

本基準及びガイドラインは、船員が自己負担することなく送還されると規定し、船員が送還される権利を有する状況を示して、当該基準で定める責任につき金銭上の保証をすることを船主に求めています。この金銭上の保証の要件を満たすため、国際グループ(IG)の13クラブは、船主が破綻した場合や本条約で船員の送還を定めるその他状況における送還費用をカバーに含め、P&Iの標準てん補範囲を拡大することを合意しています。

本基準は、船員への未払賃金について規定していません。船員の放置にともなう未払賃金についての責任は、2009年に国際労働機関(ILO)で合意された原則のひとつですが、この原則は現時点で適用されておらず、本条約の要求事項には未払賃金への保険てん補による金銭上の保証は求められていません。このILO原則は今後の協議の対象とされており、次回の協議として2014年4月の会合が予定されています。この原則がILOで検討、決議され、その後条約締約国で実施されるまでには数年かかると思われます。そのため、本条約では現在、未払賃金に関する規定はなく、未払賃金について金銭上の保証は求められておりません。 

第4.2 規則 - 船舶所有者の責任 (傷病、死亡)

本条約は、締約国を旗国とする船舶の船員が、国内法、船員の雇用契約、団体交渉協約に規定される職業上の負傷、疾病又は障害に起因する死亡あるいは長期後遺障害の場合における補償を受ける権利を、締約国が確保しなければならないと規定しており、これら補償について金銭上の保証がなければならないと規定しています。このようなクレームは、クラブ・ルールに基づきP&Iの標準リスク・カバーとして基本的にてん補されています。

第1.4 基準 - 募集及び職業紹介

本条約では、船員の募集に対する金銭上の保証を船主に義務付けてはいません。本条約では、締約国に対して一定の義務を課しています。船員の募集や斡旋を行う業者は免許が必要となる場合もありますが、それは本条約を施行する各締約国が検討すべき事柄です。

第2.2 基準 - 賃金

本条約は、船主に対し、船員への未払賃金に対する金銭上の保証を義務付けてはいません。しかし、締約国に対して、雇用契約に従って船員に賃金が支払われることを求める義務を定めています。賃金の支払義務は、各締約国の国内法に導入される可能性は高いと思われます。

金銭上の保証の証明として加入証明書を認めるかについて

国際グループは、船主の金銭上の保証を証明するものとして、グループ・クラブの加入証明書を認めるかどうかにつき、各締約国当局に定期的に問合せています。現在までに13か国が加入証明書を容認することを確認しており、その他数カ国は国内法を整備しているため検討中としています。 現在のところ、加入証明書の容認を拒絶している国はありません。最新の確認済み締約国一覧については当クラブまでお問合せ下さい。

国際グループのすべてのクラブより同様の回覧が発行されています。

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  • 10546 - Circular1013EntryintoforceoftheMLC 60 KB

    2013/05/24

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PI Club

Date2013/05/24