"フライトデッキからの教訓"の紹介

UK Clubロスプリベンションチームと世界最大の航空訓練会社であるCAEによる新構想として、“海事チームの原動力:フライトデッキからの教訓”を2021年9月に発行しました。12の航空事故を特集し、重要で移転可能な「フライトデッキからの教訓」を紹介し、それらを船舶部門と相互に参照しようというものです。

今回は12の事例の中からの1つの事例(Case Study-1 )を紹介したいと思います。

Case Study 1 - 正しく実行すること

クルー・リソース・マネジメント(CRM)の働き

ケーススタディというのは伝統的に、うまくいかなかったことや人間がどのように失敗したかを言及するものです。 しかし、人間は多くの場合、安全の創造者になります。 通常時や緊急時の手順書に記載されていない一連の困難な状況に遭遇した場合、このケーススタディが示すように、適切なクルー・リソース・マネジメント(CRM)ツールを適用することで、問題の効果的な解決策を見つけることができます。

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事例

航空機ダッシュ8は、朝07:05時にニューキャッスル空港で開始された4回の飛行の中の最終飛行でした。機長(キャプテン、航空機の責任をもつ最上位士官)は、右側着陸装置の目視検査を含む飛行前検査を実施しており、異常は認められませんでした。

エクセター空港からの離陸中に、オーディオ信号が一回鳴りました。

副操縦士は、関連する計器の状況を確認しましたが、何も見つからなかったので、彼は「誤報です、続航してください」と報告しました。離陸が継続され、プラスの上昇率が制定すると、着陸装置の格納が開始されました。

機体の右側に座っていた数人の乗客は、離陸時に右の車輪区域から火花が出ているのに気づき、着陸装置が引き込まれている時、右の車輪が機体から落下するのを見ました。彼らはこの時点でキャビンクルーに通知しませんでした。

パイロットは、離陸直後に、航空機が車輪を失った可能性があることを管制塔から通知されました。上昇は3,000フィートまで続けられ、右に旋回しエクセター空港での待機パターンに加わりました。飛行管理システムは、待機パターンを飛行することをプログラム化されており、自動操縦が作動しました。

機長は、上級客室乗務員に状況を知らせ、右側の着陸装置区域を検査するように依頼しました。乗客は、上級客室乗務員に車輪の紛失を知らせました。彼女は、装置が格納され、着陸装置のドアが閉じられていましたが、着陸装置メカニズムの部品が突き出ているのを見ることができました。彼女はこれを機長に報告し、その後、副操縦士は、飛行中の乗客である会社のエンジニアと話し、上級客室乗務員の報告を確認しました。

パイロットは、「異常および緊急」チェックリストの「着陸装置の故障」および「緊急着陸」の章を確認し、「代替着陸装置の引き延ばし」手順を使用して着陸装置を引き延ばす必要があることを確認しました。これを実行すると、左側の主脚と機首の着陸装置が下がってロックされたことが示されましたが、右側の着陸装置はなんら動きを示していませんでした。会社のエンジニアは、右の着陸装置が下がっていないことをパイロットにアドバイスしました。エンジニアとの話し合いの後、パイロットは「着陸装置の手動降下」手順を使用する準備をしました。
その後、右側の着陸装置が降ろされ、それが下がってロックされていることが示されました。これは、エンジニアと副操縦士によってキャビンから目視で確認されました。

機長は、管制塔によって承認された緊急通信メーデーを送信しました。パイロットは「緊急着陸」手順を確認し、オプションについて話し合いました。着陸装置が降ろされ、ロックダウンされていることが示されていましたが、右の車輪が空中または着陸時に外れる可能性があり、彼らは着陸時に右の着陸装置が崩壊した場合の準備をする必要があることを確認しました。

彼らは、アプローチと着陸のために右のエンジンを停止することを検討しましたが、対称影響を減らすためにエンジンを作動させ続けることに同意しました。機長は、上級客室乗務員に「現状、意図、タイミング、および特別な指示」に関するブリーフィングを行い、その後、彼女は他の客室乗務員にブリーフィングを行いました。その後、乗客は個別に説明を受けました。機長の指示に従い、右側の乗客をプロペラ区域から遠ざけ、前後に均等に分けました。

副操縦士は、最も適切な着陸手順について話し合うために、無線で運航チーフパイロットに連絡しました。

アプローチは手動で飛行し、電波高度計で1,000フィートの時、乗客は不時着時の姿勢をとるように指示されました。機体は左車輪で着地し、右車輪は滑走路に降ろされました。機長は、中心線上を走行するために、かなりの量の右舵を使用しなければなりませんでした。着陸前のブリーフィングで、パイロットは着陸時の横揺れ中にブレーキを使用しないことに確認しており、航空機が歩行ペースに減速したため、機長は緊急ブレーキを穏やかにかけ、航空機を停止させました。そして駐機ブレーキをかけました。副操縦士と上級客室乗務員は、航空機の電源が切られる前に、拡声装置を使用して事情説明を行いました。

空港救助隊が配置されると、機長は上級客室乗務員に乗客を降ろすように指示し、これは、正面の左ドアから実行されました。乗客は航空機を降りてバスでターミナルに運ばれました。

分析

機長は、右主脚の飛行前検査を行った際、異常に気づきませんでしたが、ベアリングの故障という性質上、目視できるものではなかったと思われます。

管制塔が車輪の紛失を通知した後、パイロットは待機パターンを取り、それは問題を分析するための安全な環境となりました。 この航空機型の免許を持ったエンジニアが乗っていたことは有益であり、彼の知識は非常に有利に利用されました。

問題を解決するためのフライトクルーの段階的なアプローチと効果的なCRMは、安全な結果に寄与しました。

本件は船舶の運航にどのように適用されるのでしょうか?

予期しない計画外の状況が発生した場合は、利用可能な適切なリソースをすべて使用するための時間を作ってください。

  • CRMを効果的に使用する
  • 意思決定における時間的プレッシャーを回避する
  • 乗客を含むすべての関係者と効果的にコミュニケーションをする(該当する場合)
  • 船内で利用可能なすべてのリソースを使用する
  • 利用可能な手順書を使用すること、これらがその時の状況をカバーしていない場合は、解決方法を作成するため「短期戦略」法(“short-term strategy” methodology) を使用する

船舶での応用

Cape Leonidas

ばら積み貨物船Cape Leonidasは満船で、パイロットが乗船し、ハンブルグに向けてエルベ川を航行していました。朝の早い時間に、船は主機に問題が発生し、結局故障となりました。パイロットはVTSに通知し、タグボートの支援を要請しました。船長は、船首に要員を配置し、右舷錨の投錨準備をするように命じました。船の速度が低下したため、操船するためのわずかな舵効きしかありませんでした。速度が4ノットに低下したため、緊急投錨を実施することが決定されました。

事故報告書では、投錨するという決定は、船への損害を防ぎ、当地の海洋環境を保護したと結論付けました。ブリッジチーム全体がとった行動は慎重で技術的に理にかなっていました。これは、パイロットとブリッジチームの間でCRMがどのように効果的に使用されているかを示す明確な例です。また、VTS、タグボート、乗組員を含むすべての関係者と効果的にコミュニケーションをとることで、安全な結果が得られたことも示しています。

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Reference

Maritime Team Dynamics “Lessons from the Flight Deck”

UK P&I, CAE (Witherby Publishing Group Ltd)

Captain Hiroshi Sekine

Senior Loss Prevention Executive

Date2021/11/16