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Andrew Taylor
Andrew Taylor
Chief Executive Officer (CEO)
Date
5 November 2025

クラブの理事会は上海にて開催され、一連の非常に有意義な会議を終えた後、2025年11月3日に開催されたメンバー委員会をもって終了しました。

会議では、世界のP&I保険市場の現状、最近のクラブ業績、クラブの契約更新計画、そして将来的にクラブ業績に影響を及ぼす可能性のある業界課題の進展など、多岐にわたるトピックについて議論が行われました。

市場の最新情報

過去6年間、市場動向は高額クレームの発生頻度と深刻度の増加により、著しいボラティリティを示してきました。2024年度には、ほとんどのP&Iクラブが、記録的なプールクレームおよび通常を上回るクラブ自己保有損害により、予想を超えるコンバインド・レシオを計上しました。

このため、2026年度の契約更新条件を設定する前に、2025年度の初期動向を注意深く監視しました。8か月経過時点において、クラブの財務実績は概ね予測通りに推移していますが、プールクレームは再び予想を上回るペースで進展しています。

報告されたプールクレームに対するクラブのシェアは、8か月経過時点で、過去20年間で3番目に高く、これは主に少数の非常に高額なクレームによるものです。まだクレームの進展初期段階ではありますが、これらの結果は、2025年度が再びプールクレームが多発する厳しい年度となり、すべての国際グループ加盟クラブに影響を及ぼす可能性を示唆しています。

クラブは、世界的な投資市場の好況に支えられ、今年度これまでの期間において堅調な投資収益を達成しました。この投資収益により、自由準備金は5億米ドルを超える水準に増加しました。メンバー委員会は、大型クレームのボラティリティを踏まえ、クラブの強固な財務基盤の重要性を改めて確認しました。

契約更新

クラブは、コンバインド・レシオを97.5%から105%の範囲に維持することを目標としています。ここ数年、クラブはコロナ禍における大きな困難を乗り越え、この目標に向かってコンバインド・レシオを改善してきました。しかしながら、このポジティブな傾向は、昨年度のクレーム発生状況により中断されました。変動の激しいボラティリティを回避するためには、継続的な保険料算定の取り組みによるコンバインド・レシオ改善の必要性が浮き彫りとなりました。

2024年度の厳しい結果は、主にプールクレームの発生頻度と深刻度の増加、ならびに高額クレームの深刻度の増加によるものでした。さらに、少額クレームのインフレによるコストの増加は年間約4%で継続しており、一般経費のインフレも同水準で推移しています。これらの要因は、さらなる保険料率引き上げの必要性を裏付けています。

理事会はこれらの状況を踏まえ、2026年度契約更新に向けて適切なジェネラル・インクリース(GIeneral Increase、以下「GI」と称する)について慎重に検討しました。その結果、7.5%のGIの実施および50,000米ドル未満のすべての免責額に対して10%増額(最低1,000米ドル)が決議されました。

損害 / 業界動向

最近のコンテナ船の損害による影響について、詳細な議論が行われました。危険品貨物による火災の頻度の増加と避難港の不足が相まって、2025年には海運業界における非常に意味深い事故が2件発生しました。メンバー委員会では、今後同様の損害を防止するために、業界で継続的に検討しているいくつかの選択肢について議論しました。

ナードルおよびプラスチックペレットによる汚染も、大きな関心を集めました。メンバー委員会では、このリスクを管理するために現行の取り組みを検討し、IMOなどの機関と連携して、業界が将来的に実施する可能性のある施策について議論しました。これには、有害貨物としての指定、IMDGコードの改正、梱包の最低基準の導入、保険業界による管理と保護強化のための措置(補償制限の導入を含む)の評価などのアイデアが含まれていました。

米国で発生した人身傷害クレームは、クラブのロス・レコードに引き続き大きな影響を与えています。クラブは、業界をリードする専門知識を活かし、メンバーの皆様がこれらのリスクを管理し最小化できるよう支援を続けています。

理事

下記の方々が、新たにメンバー委員会に選出されました。

Tomás Arantes, Petrobras Transporte S/A - TRANSPETRO, Brazil.

Howard Flanders, Norwegian Cruise Line Holdings Ltd, Miami.

Nick Potter, AET, Singapore, and MISC Group, Kuala Lumpur.

クラブにとって最も重要な市場の一つである中国の市場関係者向けに、上海にてレセプションを開催いたしました。今後とも、メンバーの皆様より変わらぬご支援を賜りますよう、引き続き尽力してまいります。

解除保険料(Release Calls)

理事会は勘定未閉鎖保険年度の解除保険料を以下のとおりとすることにも合意しました。

2023年度:5%、2024年度:7.5%、2025年度:10%、2026年度:15%

 

以上

UKP&Iクラブ 日本支店 訳