国際グループ(IG)は、2026保険年度の再保険料率を発表しました。
第3レイヤーの限度額が2.5億米ドル増額されたため、オーバースピルを含む再保険全体の限度額は33.5億米ドルに引き上げられました。再保険コストの船主負担額は、加入総トン数に対する割合ということで変更はありませんが、各船種別のコスト配分には一部変更があります。主にコンテナ船の料率が上昇し、ダーティタンカー、バルカー、客船の料率は引き下げられました。この配分変更は、ハイドラおよび再保険会社における最近の損失動向を反映しています。
2026年度の料率および変更内容は以下のとおりです:
船種カテゴリー | 2026年再保険料率 (総トン数毎) | 前年比% |
Persistent Oil tankers | $0.5758 | -8.0% |
Clean Tankers | $0.4337 | NIL |
Dry | $0.5751 | -5.0% |
FCC | $1.0237 | +15.0% |
Passenger | $3.1472 | -8.5% |
再保険契約更新の詳細は以下の通りです:
2022年および2023保険年度のプールクレームの状況は比較的穏やかでしたが、2024年および2025保険年度は、2019~2021年保険年度に近い、より厳しいプールクレーム状況へ戻っています。
IGクラブは、この再保険契約(GXL)によって、ほとんどの保険リスクについて、高レベルで無制限に複数回回収できる再保険の提供ができることとなっています。IGは今回、再保険契約を更新するにあたり、幹事会社であるAXA XLや、長年のパートナーである他の再保険者の方々の継続的なサポートに深く感謝しています。
2026年度のGXLプログラムには、2点の変更があります:
- IGはGXLプログラムの第1レイヤー(1億米ドルを超える6.5億米ドル)において、合計で27.5%にのぼる4つの個別再保険を契約し、第1レイヤーの市場シェア部分を75%から72.5%に引き下げました。
- IGは、GXLのうち15億米ドルを超える部分である第3レイヤーのカバーを、従来の6億米ドルから、8.5億米ドルへ増額し、クラブが船主に提供するカバー範囲を拡充しました。これにより、オーバースピル再保険は、2025保険年度の21億米ドルを超える10億米ドルから、23.5億米ドルを超える10億米ドルへと引き上げられています。
第2レイヤーおよび第3レイヤーについては、「COVID-19/パンデミックリスクの累積回収限度額」と悪意あるサイバー攻撃の累積回収限度額」が引き続き区別されています。これら2種類のリスクについて、引き続き1億米ドルを超える6.5億米ドルについての全クレームに対し追加負担なく無制限に複数回回収できます。また、7.5億米ドル以上23.5億米ドル以下のクレームについては2つのリスクそれぞれに2つの累積回収限度額が設定されています。
IG再保険委員会は、各船種のコスト配分の公平性を確保するため、毎年、使用する船種のカテゴリーについて検討しています。今回も十分に検証した結果、2026保険年度については船種のカテゴリーは変更せず、再保険料率は下記に記載する表のとおり調整されることになりました。
再保険契約更新の概要
主要部分のGXL(第1~3レイヤー、1億米ドルを超える22.5億米ドルの部分)は、3つのレイヤーとして維持されています。オーバースピル再保険は23.5億米ドルを超える10億米ドルの部分について契約更新され、GXLの第1レイヤーの中の個別契約は27.5%に相当する4つの個別契約に移行しました。(2025保険年度は25%に相当する3つの個別契約)
2026年度のGXL全体の概要:
- 各クラブのリスク保有限度額(リテンション)は1千万米ドルで変更なし
- プールクレームは、1千万米ドルを超える9千万米ドル (つまり1億ドルまで)
- 1億米ドルを超える部分については下記のとおり:
- 第1レイヤーは1億米ドルを超える6.5億米ドル、第2レイヤーは7.5億米ドルを超える7.5億米ドル(15億米ドルまで)、第3レイヤーは15億米ドルを超える8.5億米ドル(23.5億米ドルまで)
- 第1レイヤーの72.5%部分および第2レイヤーと第3レイヤーはともに、COVID-19・悪意あるサイバー攻撃およびパンデミックリスクを除き、引き続き追加負担なく無制限で複数回回収可能な契約を再保険市場にて調達。2026年度の再保険契約では、引き続き1億ドルを超える6.5億ドルのクレームについて追加負担なく無制限で複数回回収可能な契約を継続。これにより、IG加盟クラブがカバー対象と認めたリスクは、ほぼてん補が可能となった。悪意あるサイバー攻撃について7.5億ドルを超えるクレームの年間累積回収限度額は16億米ドルと設定したが、これとは別にパンデミック/Covidリスクについて別建てで16億米ドルの年間累積回収限度額を設定。当該年間累積回収限度額を超える損害については、IGのプールでカバーされるため、船主のてん補には変更なし。
- 第1レイヤーの27.5%は4つの個別再保険契約でカバーされる。これらの契約はGXLの保険市場調達部分とは別に更新された。
- ハイドラは、引き続き第1レイヤーの年間累積免責額(AAD)部分を負担する。第1レイヤーの保険市場調達部分の減少が反映され、2026保険年度のAADは1億710万米ドルから1億360万米ドルへ引き下げられた。
- その他:オーバースピル再保険(23.5億米ドルを超える10億米ドル)およびその他附随的なカバーは、総トン数ベースの保険料率に含む形で更新された。
バミューダを拠点とするIGの再保険キャプティブであるハイドラが、引き続き一部のリスクを保有することでIGをサポートし、保険料の安定性に貢献しています。また、個別再保険契約の利用も、引き続き船主の皆様への安定性を提供し続けています。
後述の通りFCCを除く一部の船種で、再保険料率が引き下げられておりますが、GXLは引き続き広い範囲のカバーを提供し続けてまいります。
各クラブのリスク保有限度額とGXLプログラムの発動ポイント
各クラブのリスク保有限度額について、包括的な見直しをしましたが、2026保険年度については1千万米ドルに据え置くことが決定されました。また、プールの構造およびGXLプログラムの発動ポイント(1億米ドル)についても変更ありません。
MLCカバー
海上労働条約(MLC)にかかわる市場再保険は、2026保険年度も競争力のある市場条件で更新されました。この保険料は全体的な再保険料率に含まれます。
P&I戦争危険特別担保
P&I戦争危険特別担保は、2026保険年度の12か月間について更新されます。この保険料についても全体的な再保険料率に含まれます。
しかし、ロシアとウクライナの間で進行中の戦争のため、IGの超過額戦争再保険会社は、この海域で運行する船舶に対して、(再保険会社が船舶戦争保険者の船主責任特別担保ですでに適用している除外文言と一致する)地域除外条項を引き続き要求しています。そのためIGグループは、ロシア/ウクライナ/ベラルーシにおける除外リスクをカバーするため、再保険市場より引き続きサブリミット付きの代替保険カバーを手当てしており、その限度額は2026保険年度には1.25億米ドルに引き上げられました。(2025年度は1億米ドル)
船客および船員
GXLの第3レイヤーおよびオーバースピル再保険限度額に変更があったものの、船客および船員に関する限度額は変更ありません。
2026保険年度GXLプログラムの構成
下の図は、2026年度のGXLプログラムのレイヤーと全体像を示しています。



