米国は2026年5月1日に大統領令14404号を発出し、キューバに対する姿勢を一層強化しました。海運関係者にとって重要なのは、この大統領令により、非米国事業者にもリスクが及び得る点です。
何が変わったのか?
従来、キューバに対する米国制裁は主として米国人に適用されており、外国企業は一定の制限(例:180日ルール)の範囲内であれば取引が可能であり、広範な二次制裁リスクはありませんでした。
しかしながら、大統領令14404号によりこの状況が変わりました。同令は、(i)エネルギー(ii)金属・鉱業(iii)金融サービス(iv)防衛・安全保障を含む主要分野における事業者に対し制裁を課すことを可能としました。。さらに、これらの事業者へ「実質的な支援」を提供する者も対制裁対象となります。
なぜ海運業界にとって重要なのか
この制裁措置により、キューバ制裁はロシア、イラン、ベネズエラに対する制裁体制に近づく形となり、非米国の海運事業者にもリスクが及び得る状況となりました。制裁が自動的に適用されるわけではありませんが、制裁違反のリスクは大きく高まっています。対象分野における事業運営は米国当局の監視対象となる可能性があり、制裁対象者と取引を行えば、制裁リスクに繋がるおそれがあります。 また、制裁対象企業を(直接または間接的に)支援するだけでも、制裁遵守違反と見なされる可能性があります。
初期の指定対象
米国財務省外国資産管理局(OFAC)はすでにGAESA(金融分野)、MOA Nickel SA(金属・鉱業分野)を含む複数の企業を制裁指定しています。この2社はいずれも従来からキューバ関連取引に関わっており、そのため船主や用船者に直接影響を及ぼします。
変更していない点
対象分野における全事業者が自動的に制裁対象となるわけではありません。また、米国のキューバ規制における既存のGeneral License 1は引き続き適用されます。ただし、全体としての制裁リスクが高まっています。
実務上の留意点
今後、メンバーの皆様はすべての取引相手をスクリーニングし、取引相手の所有持分を慎重に確認する必要があります。また、貨物または取引が対象分野に関係しているかを確認することも不可欠です。従前どおり、特に用船者、荷受人、または仲介者を通じた間接的リスクについても、十分に注意を払う必要があります。
対象分野における制裁範囲の詳細について、米国当局によるガイダンスが依然として限定的であることが不確実性を高める一因となっています。米国政府は基本的なFAQを公表しており、リンク先よりご覧いただけます。Frequently Asked Questions – Newly Added | Office of Foreign Assets Control.
要するに、非米国の海運関係者にとって、キューバ関連の取引はもはや低リスクとは言えません。制裁が自動的に適用されるわけではないものの、「実質的な支援」規則に該当する、あるいは指定対象となる可能性があるため、これまで以上の慎重な対応が求められます。キューバ制裁は今後もさらに拡大し、追加指定も見込まれます。当クラブは引き続き状況を注視し、最新情報を随時提供してまいります。
以上の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的アドバイスとなるものではありません。さらなる情報を必要とされるメンバーの皆様は通常連絡いただいているクラブ担当者までお問い合わせください。また、本制裁が各メンバーの事業に与える影響については、ご自身で具体的な法的アドバイスを取得されることをお勧めいたします。
