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Jenny Chu (JCU)
Jenny Chu (JCU)
Claims Executive
Date
27 May 2025

2025年5月20日、EUは第17次対ロシア制裁パッケージを採択し、ウクライナへの侵略戦争を続けるロシアへの制限措置をさらに強化しました。同日、英国もEUと同様の部門を対象とした制裁措置を発表しました。

ロシアのシャドーフリート

EUは、ロシアのシャドーフリートに対しこれまでで最も大規模な制裁を課し、制裁対象となる船舶の数を2倍の342隻に増やしました。今回新たに制裁対象となった189隻の船舶は、第三国を拠点としており、ロシア産原油の輸送において不正かつリスクの高い手法に関与しているか、あるいはロシアのエネルギー部門を支援しているとされています。これらの制裁は、対象船舶によるEUの港湾利用やサービス提供を禁止することで、船隊の弱体化とロシアの石油収入削減を目的としています。

またEUは、ロシアの活動を支援しているとして、UAE(アラブ首長国連邦)、トルコ、香港の海運会社およびロシア産原油に関わる主要な保険会社も制裁対象としました。以前の制裁措置およびプライスキャップ制度以降、ロシアの石油による収入は380億ユーロ減少しており、2025年3月の数値では前年比13.7%以上減少しています。

エネルギー

ロシアの戦費調達能力をさらに制限するため、EUはロシア政府に多額の収入をもたらしている大手石油会社、Surgutneftegazを制裁対象としました。

また、大手石油輸送会社も制裁リストに追加されました。

軍事関係

EUは、軍事装備を提供している45以上のロシアの企業および個人、さらに、ロシア軍およびロシアの産業部門向けに産業用機器を提供しているロシアおよび中国の企業を制裁対象としました。また、ドローン製造に携わる中国企業3社、ベラルーシ企業1社、イスラエル企業1社を制裁対象としました。さらに、セルビア、UAE、トルコ、ベトナム、ウズベキスタンを含む31の団体が、デュアルユース品の規制を回避したとして、輸出規制強化の対象となりました。新たな輸出禁止品目は、ロシアの軍事力を支える化学物質前駆体や工作機械用部品等です。

占領地域

EUは、クリミアにおける文化遺産の略奪およびウクライナの農業資源の違法な搾取に関与したとして、75の個人および団体を制裁対象に追加しました。これを受け、制裁対象となった個人および団体の総数は2,400を超えました。制裁対象に指定された個人および団体は、資産凍結、渡航禁止措置を受けるほか、EU市民や企業から資金提供を受けることが禁止されます。これらの措置は、EU官報に掲載されました。

英国制裁

ロシアによるウクライナへの過去最大規模のドローン攻撃により多くの民間人が犠牲となったことを受け、イギリスは100件の新たな制裁を科しました。制裁対象は、ロシアの軍事供給網(イスカンデルミサイルを含む)、エネルギー輸出、金融機関、偽情報活動に関与する団体・人物等です。この中には、46の金融機関、クレムリンと関連する「ソーシャル・デザイン・エージェンシー」のメンバー14人、そして、5月初旬のキエフ訪問に先立ち英国首相が発表した110隻のシャドーフリートに加え、さらに18隻のシャドーフリートに属する石油タンカーが含まれています。また英国は、ロシアの戦争資金をさらに削減するため、G7のプライスキャップ制度を強化すべく、同盟国と連携しています。

デイヴィッド・ラミー外相はプーチン大統領に対し、無条件の停戦に応じるよう強く求め、攻撃を続けた場合ロシアの国際的孤立がさらに深まると警告しました。

P&Iカバー

ロシアが関与する全ての取引においては、慎重な対応と具体的なアドバイスを求めることが常に推奨されます。ロシアが関与する取引は、非常に重要な法的規制の対象となります。メンバーの皆様は、適用される制裁措置に違反するいかなる取引に対しても保険カバーが適用されないことにご留意ください。また、制裁リスクの高い取引に従事する前に、関与または関与の可能性のある関係者、貨物、船舶およびその他のサービス提供者に関し、取引全体を通じて徹底的なデューデリジェンスを実施することをお勧めいたします。さらに、デューデリジェンスの調査結果を記録に残すことを推奨いたします。

更なる詳細については、以下のリンクをご参照ください。

Russia’s war of aggression against Ukraine: EU agrees 17th package of sanctions - Consilium

UK announces major sanctions in support of Ukraine - GOV.UK