2025年1月より、直接還元鉄タイプD(Directly Reduced Iron Type D、以下「DRI(D)」または「タイプD」と称する)(含水率2%以上の微粒副生物)が新たにIMSBCコードに必須項目として追加されました。本回覧は、国際P&Iグループ、Burgoyne社及びINTERCARGOによって共同作成したもので、主要なポイント及びガイダンスに焦点を当てて紹介しています。本回覧はあくまでも参考資料であり、IMSBCコードが優先的に適用されることに変わりありません。
はじめに
国際海上固体ばら積み貨物 (IMSBC) コード(以下、コードと称する)には、様々な形態の直接還元鉄(DRI)が記載されています。2025年1月より、コードの必須項目として、タイプD、含水率2%以上の微粒副生物が最新版のコードに新たに追加されました。この項目について、複数のページにわたり、大量の重要な情報とガイダンスが記載されています。本回覧では、タイプDに関係する主要なポイントを要約し、必要に応じて追加ガイダンスおよび観察上の注意点が加えられています。
本回覧は国際P&Iグループ(IG)がDr J H Burgoyne & Partners LLP(Burgoynes社)と協力して作成され、INTERCARGOの意見も取り入れられています。Burgoynes社による解説は本文の中で青字で記載されています。
本回覧はあくまでも参考資料であり、本回覧に添付されているIMSBCコードの関連項目について、IMSBCコードが優先的に適用されることに変わりないことにご留意ください。
背景
還元鉄(DRI)は、通常、塊状またはペレット状の鉄鉱石に水素、メタン、一酸化炭素などの高温の還元ガスを吹き付けることによって生成されます。これにより、再酸化のための非常に大きな内部表面積を有する多孔質な鉄材料が得られます。DRIに関連する主な危険は、酸化による自己発熱および水や湿気との反応による水素生成です。船倉内に積載された場合、水との反応で生成された水素が船倉内において爆発性雰囲気を形成し、爆発の危険をもたらします。
DRIの主な形態はタイプA(熱成形ブリケット)とタイプB(ペレット)ですが、製造や取り扱い(摩耗による)および排ガスから粒子を濾過する際に微粉が生成されます。微粉はタイプAとBに混入させるのに適していないため、これらを篩い分けして別々に取り扱います。
以前は、微粉はDRI(C)貨物として輸送されていましたが、IMSBCコードのタイプCに関する規定では、貨物の水分含有量が0.3%を超えてはならないと定められています。屋外保管や雨にさらされる環境での取り扱いなど、微粉の取り扱い方法によっては、このような低い水分含有量を実現できないことがよくあります。
さらに、コードでは、DRI(C)貨物はDRI(B)と同様に不活性ガス雰囲気下で輸送することが求められています。不活性ガスは空気(酸素)を遮断し、酸素との反応による自己発熱を抑制することを目的としています。しかし、後述するように、自己発熱は通常、微粉の主な問題ではありません。むしろ、水との反応による可燃性水素ガスの発生が主なリスクであり、その結果、爆発下限界に安全マージンを加えた値よりも低い水素濃度を維持するために、船倉を換気する必要がある状況が生じます。
水分含有量0.3%以下のDRI(C)微粉の生産が困難であるため、IG加盟クラブの経験では、荷送人はIMSBCコード第1.5条に基づく免除規定を利用してこのような貨物を輸送しようとするケースが頻繁にみられました。これらの免除は、不活性ガスによる輸送を回避し、機械換気の使用を代替手段として採用することが多かったのですが、三者合意が必要なため、実践が困難でした。そのため、業界全体で協力し、より永続的で、安全かつ長期的な解決策を模索する必要がありました。
そのため、コード改正07-23では、第4のDRIスケジュールである、DRI(D)(水分含有量2%以上の微粒副生物)が導入されました。
DRI (C)と同様に、DRI (D)はDRI (A)およびDRI (B)の製造および取り扱い工程の副生物として定義されていますが、水分含有量がより高いものです(DRI (C)の0.3%以下に対して、2%以上です)。
新しいDRI(D)のスケジュールには、輸送可能な水分限界値(TML)を超える水分含有量で輸送した場合の液状化リスクに関する記載があります。したがって、DRI(D)はグループAおよびグループBの貨物としても分類されています。
DRI(D)微粉に関連する主な危険は、比較的高い水分含有量および水との反応による水素の生成です。一方、微粉の高密度充填により、ばら積み貨物への酸素や空気の侵入が抑制された結果、大気酸化反応による自己発熱の傾向が低下し、通常は問題とならないレベルになりますしたがって、DRI(D)のスケジュールでは、爆発性雰囲気の形成を防ぐために船倉を不活性ガスでパージする措置や、酸素の侵入を防ぐために船倉を密閉する措置は不要としています。しかしながら、DRI(B)とDRI(C)ではこれらの措置が要求されています。その代わりに、船倉内の水素濃度を所定の限界値以下に保つために、制御された機械的表面換気と定期的なガス濃度測定を実施する体制の導入が必要です。
IGは、これまでに死亡事故を含めた複数の事故を受け、DRI貨物に関する回覧を発行してきました。これらの勧告は約20年前に発行されたものですが、それら事故の重大性と水素を発生する可能性のある貨物であることを踏まえ、IGは、今回のDRI(D)の最新版を含め、DRIスケジュール改定案の起草について、国際海事機関(IMO)への独立専門家の意見を提供し、支援してきました。
DRI(D)の危険性
DRI (D) の項目では、ばら積みで取り扱われる際に温度上昇の可能性があることが最初に記載されており、貨物と空気や水との反応により水素ガスと熱を発生させ、過熱、火災、爆発のリスクがあることが指摘されています。
DRI(D)は酸素と反応して熱を発生しますが、その高密な粒子構造密により、他の種類のDRI(特に大型のブリケット/ペレット形状式)ほど、酸素や新鮮な空気が積荷内に拡散しない場合があります。この低透気性は、自己発熱が二次的な危険要因とみなされる理由です。一次的な危険は、DRIと水/湿気との反応による水素の生成です。新しいDRI(D)のスケジュールでは、積荷の空隙部における水素ガス濃度の測定と制御に重点が置かれています。
自己発熱は二次的な危険とされていますが、空気との反応により貨物スペースの酸素濃度が低下し、隣接する空間にも影響を及ぼす可能性があります。この場合、可燃性ガス(例えば水素)が蓄積する恐れがあります。そのため、コードでは、貨物スペース(または隣接する閉鎖された空間)が換気され、ガスがないことが確認されるまで、いかなる者もその空間に入らないこととします。
コードはここで、「船舶の密閉された空間への立ち入りに関する勧告の改訂版」(決議 A.1050(27))を参照しています。
DRI(D)貨物は、輸送可能水分限界値を超える水分含有量で輸送された場合、液状化の恐れがあるため、 コードでは、反応の危険性によりグループBの指定に加えて、グループAの貨物にも分類されています。
DRI(D)の取り扱い時に発生する粉塵は、健康に有害な影響を及ぼす可能性があります(呼吸器系の刺激および/または目の損傷)。
貨物の準備と積み込み
船倉
他の DRI 貨物と同様、DRI (D) の輸送のために準備される貨物スペースは、清潔で乾燥し、塩分や前の貨物の残滓がない状態でなければなりません。木製バッテン、ばらのダンネージ、破片、その他可燃性物質は取り除く必要があります。
塩分について特に言及しているのは、DRIと水との反応は、塩分がない場合よりも塩がある場合の方が活発であるためです(言い換えれば、DRIは淡水よりも海水との反応性がはるかに高いです)。
貨物の熟成
積載される貨物ついて、屋外保管が許可されます。ただし、屋外保管中は、空気に晒されるように配置し、自然熟成を容易にする必要があります。
積載される貨物ついて、屋外保管が許可されます。ただし、屋外保管中は、空気に晒されるように配置し、自然熟成を容易にする必要があります。
貨物は積載前に少なくとも30日間この方法で熟成される必要があります。荷送人は、当該貨物が適切に準備され、熟成されたこと(すなわち、少なくとも30日間自然熟成されたこと)を証明するために、積荷港の管轄当局に認定された者によって発行された証明書を船長に提出しなければなりません。
荷送人は、積荷港の管轄当局に認定された者によって発行された、貨物が等級 4.2の自己発熱性物質の基準に達していないことを明記した証明書を船長に提出しなければなりません。
これは事実上、その貨物が自己発熱が問題となる DRI(B)のように、自己発熱しないことを申告するものです。
水分
屋外保管は許可されていますが、液状化のリスクがあるため、積荷作業中は水分含有量をTML(輸送可能な水分限界値)以下に保つ必要があります。つまり、貨物は雨天時に取り扱わないこと、および作業していないハッチは閉じたままにしておくことが求められます。雨天時の荷揚げに「は、当該船倉内の貨物がすべて当該港で荷揚げされる場合に限って許可されます。
DRI微粉のTMLは通常9~12%です。(IIMA のウェブサイトwww.metallics.orgより、IIMAが発行した「Direct Reduced Iron By-Product Fines (DRI D): A Guide to Handling, Storage& Shipping」をご参照ください)。
一旦屋外に荷揚げされると、水素生成と液状化による潜在的な危険性は当てはまらなくなります。
温度
高温下でのDRIの積載は禁止されます。閾値温度は65°Cであり、積載前の3日間連続で貯蔵場において測定が行われます。測定は貯蔵場の表面から20~30cm下の位置で、3m間隔で全域にわたって実施されます。積込中にも温度を測定し、各ロットの温度を記録したログを作成し、そのコピーを船長に提出する必要があります。積込後、船倉に入らずに貨物の温度を遠隔監視できるように、熱電対を積荷に設置します。
この方法による温度測定は、貨物の高い断熱性により制限される可能性があります。これにより、船倉内の単独の測定点での測定値が、積荷全体状態を反映しない可能性があります。また、熱電対の位置から離れたエリアの積荷に局所的な加熱「ホットスポット」が発生した場合、これらが検出されない可能性があります。とは言いながら、船倉内に配置された熱電対のネットワークは、船底の測深管や「温度」測深管からの単一の測定値よりも望ましいと思われます。これらの測深管は通常、各船倉に1か所または2か所しか設置されておらず、そのため代表的な測定値を提供できないからです。
ハッチカバーの閉鎖
天候が許す限り、積載完了後、ハッチカバーは開けたままにしておきます。これにより、貨物の冷却、貨物の温度安定化、および船倉の自然換気が可能となります。
これは、現在の「使用していないハッチを閉じておく」という助言と矛盾しているように見えます(上記をご参照ください)。その意図は、(該当する場合において)、使用していないハッチを閉じておくことで、雨による貨物の濡れを防ぐためですが、積載が完了し、ハッチカバーを開けることができる場合(例えば乾燥した天候の期間)には、放熱と自然換気を助けるためにハッチカバーを開けておく必要があります。
積載が完了し、ハッチカバーを閉じた後、コードでは、貨物の温度が安定し、65℃を超えないこと、および、船体内の水素濃度が安定し、少なくとも連続12時間、体積比1%を超えないことを確認するために、出航前に少なくとも 24 時間待機するよう求めています。
水素は可燃性ガスです。空気と可燃性混合物を形成するために必要な水素の最小濃度は体積比で4%です。これが「下限爆発限界」またはLELです。したがって、ここで言及されている1%はLELの4分の1(25% LEL)を表します。1% LELを超えないようにすることで、この「行動基準値」と4% LEL(空気中の水素濃度が爆発を引き起こす最低濃度)との間に安全マージンが確保されます。
証明書
出航前に、荷積港の管轄当局が認定した者によって、以下の内容を記載した追加の証明書を発行してもらう必要があります。すなわち、直径12mmを超える材料の重量比が3%以下であること、水分含有量が2%以上かつTML以下であること、および積載された貨物の温度が65°Cを超えないことです。
この規定では、荷送人が以下の3つの証明書を提出するよう求めています。
- 貨物が等級 4.2の自己発熱性物質の基準に達していないこと;
- 適切に熟成されていること。
- 大粒子の割合、水分含有量および温度が規定値以下であること。
さらに、船長には荷送人から、積荷役中の貨物の温度記録を提供されるものとします。
運送及び貨物管理
一般的注意事項
上述の通り、DRI (D)の運送に伴う主な危険は、船倉の上部空間で可燃性ガスである水素の発生することです。他のDRI貨物タイプとは異なり、タイプDの項目では、航海前に実施されるリスク評価に言及しており、このリスク評価は荷送人から提供される「水素発生のリスクおよびその発生率に影響を及ぼす可能性のある要因に関する包括的な情報」に基づいて行われます。
このリスク評価には、航海中に予想される気象条件、船舶の速度及び荷揚港までの距離、航海途中の避難港の有無、入手可能な水素発生に関する情報など他の要因が含まれます。船長は荷送人の助けを借りて、積込開始前に、乗組員が関連するリスクについて適切な説明を確実に受ける必要があります。
船舶には、水素と酸素の濃度を測定する手段を備えておく必要があります。これは、各船倉のガス採取ポイントに挿入可能で、ポンプとホースの長さを備えた適切に構成されたガス検知器を使用して実施します。
実務上、およびコードの推奨に従い、船倉内ガス濃度と貨物温度の測定は、荷送人が任命した経験豊富な貨物技術者によって行われることが一般的です。コードでは、貨物技術者が積載時および航海中を通して、現場で立ち会うことが推奨されています。
コードでは、このような測定装置は酸素欠乏環境での使用に適していることが求められています。これは、水に対して感度のある可燃性ガス分析装置(「触媒ビーズセンサー」)の中には、正しく動作するために最低限の酸素濃度を必要とするものがあるためです。DRI貨物によく見られるような酸素欠乏環境では、触媒ビーズセンサーは信頼性のある結果を提供できない可能性があります。同様に、低酸素環境で動作可能な他のタイプの可燃性ガスセンサーには、水素を検知できないものもあります。したがって、すべてのDRI貨物において、適切なセンサー機器の選定が非常に重要です。
換気
コードでは、各船倉で貨物表面を機械換気し、水素濃度を体積比1%未満(爆発下限界値 LELの25%)に維持することを定めています。
可燃性雰囲気が存在するリスクを考慮すると、防爆環境での使用に適したファンのみを機械換気に使用すべきです。また、適用される換気は表面換気であることが重要であり、新鮮な空気が(例えば、船倉の下方のファンダクトを通して)積荷内部に入らないことが重要です。これは、積荷内の酸化反応を促進し、発熱や反応速度の増加につながる可能性があるからです。
換気は、新鮮な空気や酸素が貨物に混入するリスクを最小化するために、水素ガスの蓄積量を体積比1%未満に除去するために必要な時間に制限する必要があります。すべきです。この点に関して、コードでは、時間ベースのガス予測曲線という概念を導入しており、その結果を航海リスク評価の更新に使用するものとしています。
時間ベースのガス予測曲線は、水素の発生率を予測するためのツールです。これは、水素の発生が時間経過とともにどのように進行するかをグラフで表したもので、各船倉の換気により水素濃度が体積比0.2%未満(すなわち5% LEL未満)に低下した後に、その貨物の空隙部における水素濃度を測定し、そのデータを時間軸に対してプロットすることで作成されます。機械換気を停止し、自然換気口を閉じた状態で、次の24時間または水素濃度が体積比1%を超えるまでのいずれか早い方まで、2時間ごとに測定を行います。これらのデータは、換気がない状態で水素濃度が体積比1%に達するまでの時間を推定するために使用され、この時間を換気スケジュールの最適化に活用できます。また、悪天候時など換気を実施できない場合は、船倉内に水素ガスがどれほど迅速に蓄積するかを把握するのにも役立ちます。これらの情報はすべてリスク評価プロセスに反映されます。
ガス濃度データを分析し、適切な換気体制を導き出すには、専門家の支援が必要な場合があります。
機械換気は、外気を取り込むのではなく排気方式により行い、排気ダクトを通じて排出されたガスを安全な場所(例えば、居住区から離れた場所)に排出するものとします。船内には予備の換気設備を2セット備え、乗組員またはその他権限を有する者は、その設置、操作および維持管理に精通している必要があります。コードでは、換気流量を貨物1トンあたり毎時最低1.2㎥と定めています。
非常時の措置
水素濃度が体積比で1%に近づくか、または1%を超える場合、該当する船倉は濃度が0.2%以下に低下するまで、機械的および/または自然な表面換気を続けなければなりません。水素濃度が体積比で1%を超える場合は、可能な限りの条件下で、より頻繁に測定を行うこと(1時間ごとの測定)が理想的です。水素濃度が高水準で継続する場合、専門家の支援が必要となる場合があります。
経験上、活発な換気中にガス濃度を測定した場合、特にガス検知器の遠隔測定ホースが、吸気または排出ガスの流れの中で船倉内に挿入された場合、信頼性の低い結果につながるかもしれません。従って、換気中のガス測定には注意が必要であり、その結果があくまでも参考値にとどまる可能性があります。正確なガス濃度測定は、たとえ数十分という短時間であっても、換気が停止して初めて可能になります。
機械換気が停止した場合、機械ファンが復旧するまでの間、連続的な自然換気を行うことができます。もちろん気象条件も考慮する必要があり、水素濃度と貨物温度の監視頻度を増やす必要があります。
貨物の温度が65℃以上に上昇した場合、コードは、熱と水素を放散させるため、機械換気と自然換気の強化し、ガス濃度と温度の測定頻度を増やすことを求めています。また、貨物に対して、CO2、水、蒸気を使用することは禁止されていますが、可能であれば隔壁の冷却(例えば、隣接する空の船倉から水を噴霧する)が推奨されています。
コードでは、貨物が温度上昇を示す可能性のある状況について規定していません。明らかに、空気や酸素との反応により発熱している貨物を換気することにより問題が生じる可能性があります。状況によっては、専門家の助言を求めることが適切かもしれません。専門家が関与する場合は、貨物が積込みされた以降の温度やガス濃度のログを含む貨物のすべての履歴を考慮する必要があります。
荷揚げ
ハッチカバーは、船倉の空隙部における水素濃度が体積比で1%未満と判断された場合にのみ解放されるべきです。従って、荷揚げを開始する前に、この閾値を達成するための追加換気が必要となる場合があります。
体積比1%の水素濃度は、可燃性下限界を大幅に下回っており、安全マージンが確保されています。さらに、ハッチカバーが開けられると、船倉内の大気中の水素は徐々に希釈され、安全マージンがさらに増えます。
上述のように、コードでは、雨天時のDRI(D)貨物の荷揚げを認めていますが、船倉内の貨物全体が同じ港で荷揚げされ、他の船舶に積み替えたり、(濡れた)貨物の一部を船上に残したりしない場合に限られます。荷揚港で雨天時に船倉を閉鎖する必要がある場合、その船倉の水素濃度監視プロセスを再開する必要があります。
まとめ
タイプDのIMSBC コード項目は、既存のタイプ C 項目と大きく異なります。両者とも微粒副生物を対象としていますが、タイプD項目は、空気中の酸素との反応による自己発熱ではなく、水との反応による水素発生という微粉の主な危険性を認識しています。従って、コードは表面換気による水素ガス濃度の測定と制御に焦点を当てています。これは、水分と空気の両方を排除することが安全の基礎となる、他のDRIのコード項目とは異なります。
従って、船長と乗組員は、距離、速度、潜在的な避難港の位置、気象条件などを考慮して、特定の航海における水素発生リスクの評価に効果的に貢献できるよう、適切な訓練を受ける必要があります。さらに、時間ベースのガス予測曲線が作成され、各船倉の水素濃度が安全限界(体積比1%、すなわち25%LEL)に達するまでの時間を推定します。このデータは換気戦略を最適化するために使用されます。通常、荷主は、このプロセスを支援するために、専門の貨物技術者を提供することが求められています。
貨物技術者の役割は、スケジュールの付録で詳細に定義されており、以下の責任が含まれます。
- 積込作業を監視し、必要に応じて助言を提供すること。
- 温度測定用熱電対の設置に関する助言と監督。
- 貨物パラメータ(温度とガス濃度)の監視と報告。
- 時間ベースのガス予測曲線を作成するための船長及び乗組員への支援と助言。
- 航海中の換気システムの運用に関する船長及び乗組員への助言と調整。
追加情報は、IIMA出版物である「Direct Reduced Iron By-Product Fines (DRI D): A Guide to Handling, Storage& Shipping」www.metallics.orgをご覧ください。