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Date
2026 7月 1

はじめに

2026年6月21日、米国財務省外国資産管理局(OFAC)は一般ライセンス X(General Licence X、以下「GL X」)を発行し、イラン産原油・石油製品・石油化学製品に関わる特定の取引を認めました。当該ライセンスにより、イランの石油関連産業に対する米国制裁の一部が、一時的ではあるものの大幅に緩和されることとなりました。

しかしながら、EUおよび英国の制裁措置は依然として米国の制裁措置と大きく異なっており、船主、用船者、保険会社をはじめとする海運関係者にとって、コンプライアンス上の課題が生じる可能性があります。

メンバー向けの主な留意点

  • 米国による許可の拡大(期間限定): GL Xは、イラン産原油・石油製品の生産、販売、輸送および荷揚に通常付随し、必要とされる取引を認めています。これには、海上輸送サービスや保険サービスも含まれます。なお、GL XはOFACによって修正、延長または取り消される可能性があります。当該ライセンスに依拠して取引を行う当事者は、ライセンスの有効期間中も引き続きその動向を注視する必要があります。
  • 重要な制限は引き続き適用重要な制限は引き続き適用: GL Xの適用範囲は石油関連分野に限定されています。また、特定の国・地域は対象外とされており、GL Xに明示されていない大統領令によって制裁指定された者との取引は認められていません。
  • EUによる禁止措置は継続: EU制裁では、仕向地を問わず、イラン産石油の購入、輸送および保険提供が引き続き禁止されています。
  • 英国の制裁制度は指定対象者ベースを維持: 英国は、イランの個人および法人に対する資産凍結措置を継続しています。一方で、現時点ではイラン産石油そのものの取引を包括的に禁止する制度は設けられていません。
  • 適法な取引であっても無保険リスクが生じる可能性: メンバーの皆様は、英国制裁法上許容される取引であれば必ずしも保険上または金融上の重大なリスクがないとは考えるべきではありません。イラン産石油を対象とする取引が英国制裁法上適法である(例えば、制裁対象者が関与していない)場合であっても、国際グループのプール協定やEU域内のプール協定関係者または再保険者に適用される制裁措置は、高額クレームが発生した際に、本来回収可能であった保険金の回収を妨げ、または制限する可能性があります。回収できなかった不足な費用は、ルール第5条V項に基づきクラブのてん補対象外となり、メンバーの負担となります。
  • 複数法域にまたがる制裁リスクの高まり: メンバーの皆様は、米国、EUおよび英国の制裁制度がそれぞれ異なることから、これらの制度が競合する状況に直面するおそれがあります。特に、保険者、融資提供者または船舶所有者などEUとの関連性がある場合、そのリスクは高まります。そのため、制裁違反リスクに加え、異なる制裁制度が保険契約や、クレーム発生時に利用可能な金融的支援に与える影響についても慎重に考慮しなければなりません。

 結論:

GL Xは、米国法の下でイラン石油取引に関わる特定の活動を一時的に認めています。しかしながら、EUおよび英国の制裁制度に基づく重要な制限は引き続き適用されるため、メンバーの皆様は提案されている取引から生じる法的リスク、コンプライアンス上のリスクおよび保険上のリスクについて慎重に評価する必要があります。特に、ある制裁制度の下では適法とされる取引であっても、制裁上の制限により、国際グループ・プールから収受可能な金額の回収が妨げられる、または制限されることによって、保険金回収に支障が生じる可能性があります。

メンバーの皆様は、適用される制裁措置に違反するいかなる取引に対しても保険カバーが適用されないことにご留意ください。また、制裁リスクの高い取引に従事する前に、関与または関与の可能性のある関係者、貨物、船舶およびその他のサービス提供者に関し、取引全体を通じて徹底的なデューデリジェンスを実施することをお勧めいたします。さらに、デューデリジェンスの調査結果を記録に残すことを推奨いたします。

さらに、複数の制裁制度が適用される可能性があることから、メンバーの皆様は各取引の法的、コンプライアンス上および保険上の影響を慎重に評価し、必要に応じて専門的な法律アドバイスを取得されることをお勧めいたします。

本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、法的助言を構成するものではありません。

 

さらなる情報を必要とされるメンバーの皆様は通常連絡いただいているクラブ担当者までお問い合わせください。Club representative.