回覧16/16 - 改正海上労働条約の金銭的保証の要件について

Trulli

アウトライン

  • 本クラブ回覧は、2017年1月に発効する改正海上労働条約のもとで船主が満たすべき金銭的保証の要件に対する 当クラブの対応について、詳細をお知らせするものです。
  • 本回覧には「よくある質問(FAQs)」を添付しています。
  • 本クラブ回覧は、クラブ回覧13/16、10/13及び08/13を参照しています。

組合員各位

改正海上労働条約の金銭的保証の要件について 

2006年海上労働条約(MLC)が 2017年1月18日より改正されることをお伝えした2016年6月30日付のクラブ回覧13/16 をご参照ください。2017年1月18日以降、MLCの対象船舶は、下記に関する責任について保険あるいは他の金銭的保証が手配されているかを証明する、保険者あるいは他の金銭保証提供者が発行した証書を船内掲示することが求められます。その責任とは、

  • MLC第2.5規則、第A2.5.2基準及び第B2.5ガイドラインに定められた船員の未払賃金及び送還費用、並びに送還に付随して生じる費用、及び
  • MLC第4.2規則、第A4.2基準及び第B4.2ガイドラインに定められた死亡あるいは後遺障害補償

国際グループの全クラブ理事会は、各クラブが必要な証書を発行するべきであると決議しました。本クラブ回覧の目的は、メンバーが金銭的保証に関する要件を満たすための手続きについて、最新情報をお知らせするものです。本クラブ回覧には最重要情報を記載していますが、詳細は「MLCよくある質問(FAQs)」をご参照ください。

MLC証書を必要とする船舶

船舶は以下の場合にMLC証書が必要となります。

  • MLC締約国に登録している場合
  • MLCを批准する管轄地域に寄港する場合

MLC締約国の詳細は、国際労働機関(ILO)のMLCデータベースに記載されています。MLC証書は、MLCを批准しない非締約国の登録船舶やMLC締約国に寄港しない船舶には必要ありません。その他MLCが適用される船舶の分類についての情報は当クラブのウェブサイト及び「MLCよくある質問(FAQs)」に記載されています。

手続き

国際グループの全クラブは、MLC証書の取得方法について近日中にメンバーにお知らせします。各クラブは、本クラブ回覧に添付したAnnex1及び2の文言で作成した証書をPDF形式でメンバー宛にお送りします。メンバーはこれを印刷し、2017年1月18日までに、乗組員に見えるよう目立つ場所に掲示することを確実にしなければいけません。

証書が発行されると、当クラブ・ウェブサイトの船舶サーチ機能「Ship Finder」に記録されます。

この証書はクラブが発行するので、締約国に証書の発行を申請する必要はありません。しかし、締約国の中には、自国の登録船舶の船主に、証書のコピーの提出を求める国があるかもしれません。

2017年2月20日以降もUKクラブでP&I保険を更改するメンバーは、2018年2月20日まで有効な証書を取得することができます。

保 険

本証書の下で生じる責任の中には、船員に対する標準的P&Iカバーの範囲内のものがあります。例えば、UKクラブのルールで、死亡及び後遺障害の補償は通常カバーされます。同様に、海難に伴う送還費用や船員の賃金などは標準カバーとなります。 しかし、その他の責任、特に改正MLCの第2.5.2基準に定められている、船員が遺棄されたことから生じる送還費用及び賃金は、P&Iカバーの範囲ではありません。

各クラブは添付Annex 3に記載のMLC Extension Clauseに基づき証書を発行します。この条項ではクラブが証書で特定した規則及び基準の範囲内となる、船員から提起されたクレームを支払うということを定めています。また、この条項は、もしこの支払いがP&I保険の標準カバーの範囲でない場合、メンバーはクラブに対して弁済する義務があることも規程しています。

再保険

P&Iカバーの範囲でないクレームは、国際グループのプールや再保険契約の範囲にもなりません。国際グループは、このMLC Extension Clauseの下で生じP&Iカバーの範囲とならない責任に対する追加の再保険契約を手配しています。この再保険契約は、全てのメンバーに十分なレベルまで拡大される予定ですが、特に多くの船員を有する少数のフリートは対象外となる可能性もあります。

まとめ

MLC条約の金銭的保証に関する要件により、船主、保険者、旗国や港湾監督に様々な困難が生じています。IMOの条約には同様の強制保険制度があるものの、MLCとはかなりの違いがあります。例えばMLCには保証の文言を定めた規定がありません。さらに、各締約国には旗国として、もしくは港湾当局として、それぞれの観点でMLC条約をどう導入し実施するのか一定の自由度があります。

本回覧の執筆時点で79か国がMLC条約を批准しています。国際グループは、18ヶ国で構成する非公式連絡組織を設立するにあたり、国際グループが提案した手続きについて協議しコメントを受付けるなどの機能を果たしてきました。その目的は、改正MLCの要件を満たしすべてのMLC締約国が受入れ可能な保証システムを提供するためです。更新情報については追ってお知らせします。

すべてのクラブは同様の回覧を発行しています。 

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Staff Author

PI Club

Date2016/10/07