事故の教訓:発電機プラットフォームからの転落
コンテナ船
事故の概要当直エンジニアとオイラー(操機手)は、損傷したディーゼル発電機の排気ガス温度計の交換作業を命じられたが、これには排気ガスマニホールド部分を取り外す必要があった。作業開始に先立ち、作業前ミーティングが実施され、作業に必要な道具と設備の準備が行われた。 エンジニアは最初にマニホールドカバーと絶縁部分を取り外し、圧縮空気ホースを使用して露出した排気管の塵や埃の粒子を吹き飛ばした。作業中、吹き飛ばした塵が顔にかかるのを避けるために後方に体を傾けた拍子に、エンジニアはバランスを失い、プラットフォームから甲板に2メートル以上転落した。 エンジニアは応急処置を受け、次の港で病院に収容されたが、鎖骨の骨折や腕と肩の軟部組織の損傷などの診断を受けた。
分析設計上、発電機のエンジンプラットフォームには、約1メートルの高さの1本の固定ガードレールが取り付けられていたが、その下部の中間レールは取り付けられていなかった。 これは、エンジニアが作業のためにしゃがみバランスを失った際、彼がレールとプラットフォームの間から転落する可能性があったことを意味している。
事故後のアセスメントを実施した後、乗組員は上部手すりとプラットフォームの間に中間の水平チェーンを取り付けた。 事故当時、かなり高い波やうねりの中で本船は動揺しており、エンジニアがバランスを失う一因となった可能性がある。エンジニアは眼の保護具を着用していたが、この事故は圧縮空気装置を取り扱う際の注意として、乗組員にその保護具の必要性を強調したものでもあった。
事故の教訓- 作業開始前に徹底的な現場でのリスクアセスメントをしていれば、危険を特定し、索具装置の追加や安全ベルトの着用など、適切な予防措置を取ることができた。
- 高所のプラットフォームや通路、オープンなハッチ上の通路から人が転落する危険がある場合、上部および中間のガードレールを転落防止のために取り付けなければならない。
- 乗組員は、本船が航海中ローリングやピッチングの状態にあるとき、高所作業の必要性について、慎重に考慮するべきある。
- 圧縮空気は表面や部品の清掃に非常に有効ではあるが、慎重に使用し、決して体の一部へ向けたりせず、適切なPPE(保護具)を装着しなければならない。