事故の教訓: 貨物艙への落下
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Vessel Type
Bulk Carrier
事故概要
乗組員は、次の貨物に備えて貨物艙を掃除するように指示されました。本船は、わずかに波がある海面状態の中、船には動揺もなく航行中でした。船倉の上方部分の掃除をしようと思い、乗組員は、船倉内に組み立てられたポータブルステージ上にある高圧洗浄装置の位置を動かそうとしました。ステージの高さは約6メートルあり、それを安定させるために船の構造物にしっかりと固縛してありました。さらに、ステージ上にいる乗組員は、安全ベルトを取り付けることができるように、安全ロープが船倉を横切って装備されていました。ステージの位置を変更する時、乗組員はステージの固縛を解放し、装置を船倉内で押して動かしました。この動きの間に、ステージ上にいる乗組員はバランスを失い、船倉に転落し重傷を負いました。本船は離路し、怪我人をヘリコプターで移送しました。
分析
ステージ上の乗組員が事故前のある時点で、彼の安全ベルトを安全ロープから切り離したことは明らかです。いかなる状況でも高所で作業する場合は、適切な安全対策を慎重に計画して実施する必要があります。船舶が海上にあるときは、特に予期しない船体運動が起こるという可能性、また、利用可能な機器の制限を考慮して、そのような作業を実行する必要性について、十分慎重に検討する必要があります。船倉の清掃の場合、次の貨物を積み込む準備が終了したとして、清潔な船倉を提示するというコマーシャル上の要件があります。しかし、乗組員はこれを遵守する目的で、不当なリスクを負うことは期待されていません。
事故の教訓
- 海上で乗組員が高所作業を実施するという必要性について、常に慎重に検討しなければならず、リスクアセスメントの対象となります。
- 船倉の清掃を行う場合、乗組員の安全は、運航の要求事項よりも大きく優先されます。
- 高所作業中において、安全ベルトは常に安全ロープや船体の強度部位に取り付ける必要があります。
- 高所作業は常に適切に監督され、作業許可書作成の対象となります。
- 乗組員の誰でも、作業を実施する時に安全上の懸念があると思った場合は、その作業を停止して状況を再評価しなければなりません。
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