回覧2/20 - 2020年度P&I戦争危険の特別担保

アウトライン

  • P&I戦争危険特別担保の限度額は2020年度も引き続き5億米ドルとなっています。
  • 「生化学兵器等リスク」は引き続き除外条項ですが、乗組員に関する船主責任及び訴訟関係費用については、3,000万米ドルを限度額として引続き追加の特別担保が可能です。
  • これら担保のある部分は、2015年再承認法(TRIPRA)、また、2019年再承認法(Public Law 116-94, 133 Stat. 2534)にて改正された2002年米国テロリズム危険保険法の要件に従っています。

メンバー各位

P&I戦争危険特別担保 および 生化学兵器等特別担保 および2019年再承認法により改正された2002年米国テロリズム危険保険法

P&I戦争危険特別担保

2020年2月3日の理事会において、保険約款第5条E項ただし書に従いメンバーに提供しているP&I戦争危険特別担保の枠組みにつき検討が行なわれ、2020 年2月3 日付理事会決議文に従い、2020保険年度もメンバーに同担保を提供することを決議しました。

P&I戦争危険特別担保の条件は、5億米ドルの担保限度額を含め2019年保険年度と同様に、2020保険年度も提供されます。

しかし、2020保険年度では、戦争危険特別担保の控除免責金額(the excess)の定義に変更があり、これまでは、(a) 1億米ドルを上限とする加入船舶の「適正価額」、もしくは、(b)他の戦争保険契約に基づき、当該クレームについて回収可能な金額のいずれか高い金額とされてきました。2020保険年度では、「適正価額」の上限額が1億米ドルから5億米ドルに変更されます。

同特別担保には、加入船舶の適正価値相当額の基礎的な担保が契約済であることが条件とみなされることをご承知おきください。適正価額が5億米ドルを超過する船舶を除いて、そのような保険付保がされていない場合、その担保は、あたかも適正価額まで契約されているものとみなされるため、基礎的免責限度額は5億米ドルとなります。

この改定による影響は、所有船舶が各々1億米ドル以上のメンバーや基本的な戦争危険保険を付保していないメンバーにとっては、2020保険年度のカバー(とメンバー自身の負担金額)に大きなギャップが生じることです。したがって、メンバーは、1億米ドル以上の価額の船舶にどのような影響が生じるか理解をするため、船舶戦争保険契約をよく見直していただくことをお勧めします。

これまでの保険年度と同様に、P&I戦争危険特別担保の対象は、保険約款第5条D項に規定した加入船舶の適正価額、現在は、5億米ドルを上限とみなす金額、もしくは、船舶戦争保険者から回収可能な金額の総額のいずれか高い金額を超えるクレームが対象となります。

戦争リスクに関する保証、もしくは保険証券に基づきクラブが支払った場合に、メンバーは、標準的な船舶戦争保険の船主責任特約のもとで回収された、もしくは、回収が可能となる範囲でクラブに補償することになります。

生化学兵器等クレームに対する担保

理事会はまた、「生化学兵器等除外条項」によってP&I戦争危険特別担保から除外されているすべてのP&I責任に関して、乗組員のリスク及び訴訟関係費用については、3,000万米ドルの担保限度額とすることを含めて、2019保険年度と同様に生化学兵器等クレームを担保すると決議しました。 

本担保に関するクレームで、2020保険年度のクラブのリテンション限度額である1000万米ドルを超えるクレームについては、引き続き国際グループ・クラブでプールされます。 本特別担保の条件は2020年2月3日付理事会追加決議文に記載されています。主な条件は以下の通りです。

  1. 担保は、グラウンド・アップ(つまりメンバー個々の免責額を超える金額)とし、一船舶一事故につき(あるいは一事故から発生する一連の出来事につき)3,000万米ドルまでを限度とします。 
  2. 3,000万米ドルの担保限度額は、当該船舶の全利害関係者に対し、一船あたりの総額として適用されます。 これは事故の利害関係者の数にかかわらず、また(例えば船主、用船者、再用船者等が)複数のP&Iクラブに 加入しているか否かに関係ありません。
  3. この担保には、リスク総額が過大にならないよう、解除条項(24時間通告)を設けています。
  4. 特定情勢不安定地域については、理事会の裁量により除外することができます。 
  5. 本特別付保に対する追加保険料はありません。

担保に関する通知 - 2015年再承認法(TRIPRA)、また、2019年同再承認法 (Public Law 116-94, 133 Stat. 2534)により改正された2002年米国テロリズム危険保険法(TRIA)

米国テロリズム危険保険法(TRIA)を2027年12月31日までの7年間延長するための2019年テロリズム危険保険再承認法(Public Law 116-94, 133 Stat. 2534) ("TRIPRA")が2019年12月20日に法制化されました。 

理事会決議文に従い、メンバーに提供されるP&I戦争危険特別担保及び生化学兵器等特別担保のある部分は、2015年再承認法、また、2019年再承認法(TRIPRA)により改正された2002年米国テロリズム危険保険法(以下同法)の要件に従って作成されており、同法第102条1項において定義され、同法第103条c項の要件を満たす 「テロ行為」により生じた損失を担保します。 「テロ行為」と認められた事柄から生じた損失のてん補金は、連邦法で定めるプログラムに基づき合衆国政府から一部回収できます。本プログラムでは、合衆国の支払う割合は、西暦2020年は、保険者がその免責金額を差引いて支払ったテロリズム損失てん補金の80%、西暦2021年にも80%となっています。 改正された同法も従来同様、政府の損害補償についてのトリガー(補償の適用条件)を規定しています。つまり、「テロ行為」と認められた事柄から生じた損害について、保険業界全体の総損失額が一定の金額、あるいはトリガー金額を超えなければ、保険会社は政府の損害補償を受けられません。西暦2020年とそれ以降2027年までのトリガー金額は2億米ドルです。 また、この規定は年間プログラム内に、同再承認法の総保険損失額が1,000億米ドルを超えた場合、政府はこの超過額の支払い義務はなく、いかなる保険会社も、免責適用後のてん補額が1,000億米ドルを超える部分については責任を負わないとしています。 この「テロ行為」担保のために追加保険料はかかりませんが、同法に従って1加入トン当り0.25セントの保険料がこの合衆国リスクに割り当てられていると見なされています。

UKP&Iクラブ 日本支店

詳細情報につきましてはDr. Chao Wu (chao.wu@thomasmiller.com, Tel: +44 20 7204 2157)あるいは日本支店までお問合せください。

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PI Club

Date2020/02/03

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