Unitって何?

Unitって何でしょう?測度の別称が変わると、、パッケージ・リミテーションの額が高くなるかもしれません。
ヘーグ・ルール(HR)およびヘーグ・ヴィスビー・ルール(HVR)のパッケージ・リミテーションについて英国裁判所は少なくとも6ヶ月にわたり検討を行ってきましたが、心配には及びません。Maersk Tangier号事件でベイカー判事の下した判決は、待ち望んだ解決策をしめしているのです。
Aqasia号事件 ではバラ積み貨物のパッケージ・リミテーションに焦点が当てられMaersk Tangier号事件ではコンテナ貨物のパッケージ・リミテーションが検討されました。Unitとパッケージの違いとは一体何なのでしょう、なぜ注意が必要で、その影響はどのようなものなのでしょうか。
Maersk Tangier 号事件
シッパーはコンテナ12本分のTuna Loinを船積みする契約をマースク社と結びました。輸送途中にコンテナ3本がダメージを被ったとされ、貨物所有者が本船オーナーに対し訴訟を提起しました。責任問題は保留とされ、パッケージ・リミテーションが争点となりました。そこで、当初のブッキング情報とその後発行されたsea waybillを見直す必要があります。
ブッキング時にマースク社は記名式船荷証券のドラフトを作成してクレーマントに渡しました。それには「Frozen Bluefin Tuna Loins」の具体的な個数が記載され、その後発行されたwaybillにも同様の記載がありました。
鋭い方は船荷証券ではなく、sea waybillである点にピンときたことでしょう。HVRはwaybillに自動的に適用されるものではありませんので、HVRのIV-5は適用されず、契約条件に従って一梱包当たり100ポンドのパッケージ・リミテーションが適用されるとマースク社は主張しました。判事はこの主張を退け、当事者がHVRの適用を意図して船荷証券を発行しようとしたことだけで足りるとしました。
そこで文字通り究極の質問ですが - unitって何なのでしょう?Tuna Loinをひとつずつ船積みすることはできず、個品の数はunitにならないので、コンテナの本数がunitであるとマースク社は主張しました。この主張によると、クレーム額は89万ポンドであるのに、パッケージ・リミテーション額は約2,000ポンドになります。しかし判事はまたもやマースク社の主張を退けました。コンテナ内のパッケージやunitについて別個のリミテーションを定めることをHVRが認めているわけではないので、HVRのパッケージ・リミテーションはfrozen tuna loinsの個数をもとに算出すべきだというのです。
このケースの教訓は何でしょう?運送人にとって必ずしも喜ばしいニュースとは言えませんが、このケースとAqasiaのケースが示すところは、運送人の責任制限には個品の数と総重量のふたつの選択肢があるので、英国裁判所はクレーマント側に有利な選択肢を採用するであろうということです。船荷証券に貨物に関する記載をする際にはこのことを忘れてはいけません。小さな個品をたくさん輸送する場合には、unitではなく重量記載を検討しましょう。
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