BIMCO: 定期用船契約用 ETSA条項2022

Ship emissions

2022年6月22日、欧州議会はEU排出量取引制度(EU ETS)の改正案を採択しました。海運業は、EUのFit for 55政策パッケージの一環として、この制度の適用対象に追加されました。この制度に基づき、船主はEU MRV 規則(Monitoring, Reporting and Verification、燃料消費量報告)のような強制的な報告義務に従い、船舶の排出量を確定する義務があることとなります。BIMCOは、EU ETSを含む排出量取引制度(ETS)の下での船主と用船者間の責任と費用の配分を規定する「定期用船者のための排出量取引制度排出枠(ETSA)条項2022」を発行しました。

ETSA条項は、燃料を提供し、その代金を支払う側は、その燃料によって排出される温室効果ガスをまかなう排出枠も提供すべきであるという原則に従っています。この条項は、定期用船者が、用船期間中の船舶の排出量に相当する排出枠を「提供し、支払う」責任を負うことを定めています。EU ETS の下では、各排出枠により、その保有者に1トンのCO2を排出する権利が与えられます。用船者は、排出量に見合った排出枠を計算するために必要なデータを船主から受け取らなければなりません。従って、上記の義務を遵守するためには、船主と用船者が協力してデータと情報をタイムリーに共有することが不可欠です。ETSA条項は、船主に排出枠の費用を払い戻すのではなく、排出枠を譲渡するという原則に基づいています。これは、価格変動による複雑さを避けるためです。

BIMCOの定期用船者向けETSA条項2022は現在、BIMCOのウェブサイトからダウンロードできます。

和訳:田中庸介 (弁護士法人 田中法律事務所 代表社員弁護士)

Jacqueline Tan

Legal Services Manager

Date2022/07/04