回覧3/19 - P&I戦争危険、生化学兵器等特別担保
アウトライン
- P&I戦争危険担保の限度額は2019年度も引き続き5億米ドルとなっています。
- 「生化学兵器等リスク」は引き続き除外条項ですが、乗組員に関する船主責任及び訴訟関係費用については、3,000万米ドルを限度額として引続き追加の特別担保が可能です。
- これら担保のある部分は、2015年再承認法(TRIPRA)により改正された2002年米国テロリズム危険保険法の要件に従っています。
P&I戦争危険特別担保 および 生化学兵器等特別担保 および
2015年再承認法により改正された2002年米国テロリズム危険保険法
P&I戦争危険特別担保
2019年1月28 日の理事会において、保険約款第5条E項ただし書に従いメンバーに提供しているP&I戦争危険特別担保の枠組みの検討が行なわれ、2019 年1月28 日付理事会決議文に従い、2019保険年度もメンバーに同担保を提供することを決議しました。
P&I戦争危険特別担保の条件は、5億米ドルの担保限度額を含め2018年度と変更ありません。2018保険年度と同様、担保の対象は、保険約款第5条D項に規定した加入船舶の適正価額の超過部分のクレーム、あるいは、船舶戦争保険者から回収可能な金額の総額、これらいずれかの高い金額のみとなっています。
生化学兵器等クレームに対する担保
理事会はまた、生化学兵器という理由でP&I戦争危険特別担保から免責とされているすべてのP&I責任に関して、乗組員のリスク、及び、訴訟関係費用については、3,000万米ドルの担保限度額を含め、2018保険年度と同様に担保すると決議しました。
本担保に関するクレームで、2019保険年度のクラブのリテンション限度額である1000万ドルを超過するクレームについては、引き続き国際グループ・クラブでプールされます。
本特別担保の条件は2019年1月28日付理事会追加決議文に記載されています。 主な条件は以下の通りです。
- 担保は、グラウンド・アップ(つまりメンバー個々の免責額を超える金額)とし、一船舶一事故につき(あるいは一事故から発生する一連の出来事につき)3,000万米ドルまでを限度とします。
- 2. 3,000万米ドルの担保限度額は、当該船舶の全利害関係者に対し、一船あたりの総額として適用されます。 これは事故の利害関係者の数にかかわらず、また(例えば船主、用船者、再用船者等が)複数のP&Iクラブに加入しているか否かに関係ありません。
- この担保は、リスク総額が過大にならないよう、解除条項(24時間通告)を設けています。
- 特定情勢不安定地域については、理事会の裁量により付保から除外することができます。
- 本特別付保に対する追加保険料はありません。
担保に関する通知
- 2015年再承認法(TRIPRA)により改正された2002年米国テロリズム危険保険法(TRIA)
2015年1月12日、2015年テロリズム危険保険再承認法(Public Law 114-1) ("TRIPRA")は、米国テロリズム危険保険法(TRIA)のプログラムを2020年12月31日までの6年間延長するため、法制化されました。
理事会決議文に従い、メンバーに提供されるP&I戦争危険特別担保及び生化学兵器等追加担保のある部分は、2015年同再承認法(TRIPRA)により改正された2002年米国テロリズム危険保険法(以下同法)の要件に従って作成されており、
同法第102条1項において定義され、同法第103条c項の要件を満たす 「テロ行為」により生じた損失を担保します。
「テロ行為」と認められた行為から生じた損失の担保は、合衆国連邦法で定められたプログラムに基づき米国政府から一部回収が可能です。本プログラムでは、合衆国の支払う割合は、2019年に保険者がその免責金額を差引いて支払ったテロリズム損失てん補金の81%、2020年は80%となっています。
改正された同法も従来同様、政府の損害補償についてのトリガー(補償の適用条件)を規定しています。つまり、「テロ行為」と認められた行為から生じた損害について、保険業界全体の総損失額が一定の金額、あるいは、トリガー金額を超えなければ、保険者は政府の補償を受けられません。2019年のトリガー補償額は1億8000万ドル、2020年は2億ドルです。 また、もしこの年間プログラム内に、総保険損失額が1,000億ドルを超えた場合、政府はこの超過額の支払い義務はなく、いかなる保険者も、免責適用後のてん補額が1,000億ドルを超える部分については責任を負わないとしています。
この「テロ行為」の担保に追加保険料はかかりませんが、1加入トン当り0.25セントの保険料が、同法で規定する合衆国リスクに割り当てられていると見なされています。
以上
UK P&Iクラブ 日本支店
For more information Members requiring further information should contact Dr. Chao Wu at chao.wu@thomasmiller.com or telephone +44 20 7204 2157.