事故の教訓: カーゴホールドへの浸水

事故の概要
荷役作業中、当直航海士は、カーゴホールドに多量の水があることに気づいた。 彼は直ちに船長に報告し、カーゴホールドのビルジシステムによって、予備のタンクに水を移送する処置がなされた。当初約6メートルほどの水位があり、約30のコンテナが完全にまたは部分的に水没していた。ホールドから水がひいてから、水没したコンテナは陸揚げされ、検証した結果、コンテナ・シールと通気口から海水が侵入したことにより貨物に重大な損害が発見された。その後の船上調査により、ホールドの浸水は、左舷・右舷にある2つのディープバラストタンクのタンクトップの腐食割れによって発生したことが明らかになった。
分析ホールドの近くのバラストタンクは、予防措置として、日常的に満杯にはされないことが報告された。 しかし、この航海では、問題のタンクは100%の容量に満たされ、タンクトップの腐食割れした箇所を通って水が浸入する結果となった。 コンテナ船のオペレーション上、乗組員が頻繁にホールドの端から端まで厳密に検査し、水圧テストをすることは難しいかもしれない。 しかしながら、ホールドの水密性維持のためには、不具合が報告されその修理が行えるよう、業務が許す限りあらゆる機会にチェックをするべきである。また、ホールドのタンクトップ上の構造物は、コンテナ積載時に重量が過度にかかると、破損しやすい。本件では、早期に浸水の警告をすべき、ホールド・ビルジの警報も故障していることが判明した。
事故の教訓- バラストタンクとカーゴホールドの境界の検査および水圧テストは、船舶保守計画に組み込まければならない
- 予防措置でタンクを満杯にしないことは、タンクトップを適切に保守することにはならず、その結果として自由水影響により、本船の安定性に悪影響を及ぼす可能性がある
- カーゴホールド・ビルジの水位が正常かどうかは、天候が許す限り日常的にチェックすべきであり、高水位警報は定期的に機能テストをすべきである
- コンテナは浸水に耐えるようには設計されておらず、このような水没ケースは非常に高額クレームにつながる可能性がある
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